2012 Fiscal Year Annual Research Report
ベアリングレスモータの小形化・低消費電力化と次世代クリーンデバイスへの応用
Project/Area Number |
23686041
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
朝間 淳一 静岡大学, 工学部, 准教授 (70447522)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 精密機械システム / ベアリングレスモータ / 磁気軸受 / 磁気浮上 |
Research Abstract |
ベアリングレスモータは,固定子に回転・磁気浮上巻線の2種類を施すことで,磁気力により回転主軸を非接触で支持するモータであり,半導体製造分野等でのポンプ,真空ステージ,バイオリアクタ等のクリーンデバイスへの応用が脚光を浴びている.しかし,既存のベアリングレスモータは,回転子の回転方向以外の5自由度運動を安定化させるために,多くのセンサ,アクチュエータ,アンプが必要となり,小形化・低消費電力化・低コスト化が普及への課題である.そこで本研究では,1自由度能動制御のみで磁気浮上回転が可能なベアリングレスモータ(SDBelM)の実現と,それを応用した既存の限界を打破する次世代クリーンデバイスの実現を目的とする.平成24年度は,以下の研究成果を得た. 【高速スピンドル用】SDBelMでは,非制御方向運動はばね支持と等価なので能動制御方向と比較して振動が大きい.本年度は,従来の2極から4極構造にすることで並進方向の剛性を等価にし,振動低減を図った. 【冷却ファン用】さらなる応用を見据え,昨年度には円板形状の回転子を有するSDBelMを試作した.本年度はその磁気浮上実験を試みたが磁気浮上には至らなかった.その原因は傾き運動の並進運動への干渉であったためそれを解消する新しい冷却ファン用SDBelMを提案,試作し,磁気浮上を確認した. 【ポンプ用】昨年度までは,三相インバータ1台で回転子の2自由度を制御していた.本研究では,さらに零相電流でもう1自由度を制御することで,三相インバータ1台で3自由度の能動制御を実現する.本年度は新しい制御方法を適用するためのスラスト磁気支持機能を備えたSDBelMの設計を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【高速スピンドル用】非制御方向の共振のため,高速回転には至っていないため. 【冷却ファン用】非接触磁気支持は確認したが,安定な回転には至っていないため. 【ポンプ用】SDBelMの新しい制御方法の実証に至っていないため.
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Strategy for Future Research Activity |
【高速スピンドル用】SDBelMは非制御方向の共振が発生する.共振回避のため,固定子をばね支持し動吸振器化することで振動・共振を低減する方法を検討する.実現されれば汎用的な問題解決方法となり,その有用性は高い.さらに超高速ドライブを実現することで,電動スーパーチャージャや紡績用スピンドル等への応用が可能となる. 【冷却ファン用】第一次試作機の回転実験・性能評価を行い,得られた知見から問題点を抽出し,第二次試作機を製作し,冷却ファンとしての有用性を実証する. 【ポンプ用】三相インバータ1台で3自由度の能動制御を実現する.これにより少ないパワーモジュール数で多自由度の運動を制御し,さらなるベアリングレスモータの小形化・低消費電力化・低コスト化が可能となる.
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