2011 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンプロセスとの融合による多機能分子メモリの開発
Project/Area Number |
23686051
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
早川 竜馬 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, NIMSポスドク研究員 (90469768)
|
Keywords | 単一電子トンネリング / 分子ドット / 光 / 磁場 / 多値動作 |
Research Abstract |
本研究の目的は、機能性分子を量子ドットに用いた多機能単一電子メモリの開発である。単一電子メモリは、SiやGeの量子ドットをフラッシュメモリの浮遊ゲートに用いることによりクーロンプロッケード効果を発現し、ドットへ注入する電荷を単一電子レベルで制御できる。そのため、高集積、超低消費電力、多値動作を兼ね備えた次世代メモリとして期待されている。しかしながら、20年以上前に提案されているにも関わらず未だ実現されていない。その最大の問題は量子ドットのサイズを均一に制御することが困難な点にある。本申請においては、機能性分子を量子ドットとして用いることにより、上記の問題を解決すると伴に無機材料では実現できない新規機能を発現させることを目指す。 平成23年度においては、「光異性化分子を量子ドットに用いた光制御型単一電子メモリ」を実現するために、単一電子メモリの基本構造である金属-絶縁体-半導体構造中において単一電子トンネル電流の光制御を試みた。まず初めに、分子ドットを真空蒸着法により形成するためにジアリールエテン分子の構造最適化を行った。その結果、10^<13>個/cm^2程度の高密度な分子ドットを形成することが可能になった。さらに原子層成膜法により形成した酸化アルミニウムをゲート絶縁膜に用いることにより分子を壊すことなく絶縁膜中に集積化することに成功した。上記に示すデバイス形成技術の確立により、紫外および可視光照射によって誘起されるジアリールエテン分子の光異性化反応を利用して単一電子トンネル電流の光制御に成功した。本結果は、光によって単一電子メモリの閾値電圧を制御できることを示しており「光異性化分子を量子ドットに用いた光制御型単一電子メモリ」の実現に近づく重要な成果である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の重要課題として記載していた光異性化分子を量子ドットに用いた単一電子トンネル電流の光制御を実現することができた。この結果は、分子の軌道準位によって単一電子メモリの閾値電圧を制御できることを示しており、無機材料では実現できない分子ならではの新しい機能創出に繋がる成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果から分子軌道準位によって単一電子トンネル電流を制御できることが明らかになった。その知見をもとに本申請のもう一つの大きな遂行課題である異種分子をドットに用いた多値動作を示す。現在、フタロシアニンとそのフッ素化分子を共蒸着できるシステムを確立した。また、予備実験として、それぞれの分子単独で金属-絶縁体-半導体構造中において単一電子トンネル電流を観測することに成功している。
|
Research Products
(3 results)