2012 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンプロセスとの融合による多機能分子メモリの開発
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23686051
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
早川 竜馬 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, MANA独立研究員 (90469768)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 単一電子メモリ / 分子ドット / 光 / 多値動作 |
Research Abstract |
本研究の目的は、機能性分子を量子ドットに用いた多機能単一電子メモリの開発である。単一電子メモリは、SiやGeの量子ドットをフラッシュメモリの浮遊ゲートに用いることによりクーロンブロッケード効果を発現し、ドットへ注入する電荷を単一電子レベルで制御できる。そのため、高集積、超低消費電力、多値動作を兼ね備えた次世代メモリとして期待されている。しかしながら、20年以上前に提案されているにも関わらず未だ実現されていない。その最大の問題は量子ドットのサイズを均一に制御することが困難な点にある。本申請においては、機能性分子を量子ドットとして用いることにより、上記の問題を解決すると伴に無機材料では実現できない新規機能を発現させることを目指す。 平成24年度においては、単一電子メモリの基本構造である金属-絶縁体-半導体構造中において単一電子トンネル電流の光制御を試みた。ここで、分子ドットとしてジアリールエテン分子を用いた。ジアリールエテンの光異性化を利用して紫外および可視光によって単一電子トンネル電流の閾値を光で制御することに成功した。しかしながら、ジアリールエテン分子の昇華温度が非常に低いためトンネル絶縁膜形成時に再蒸発してしまうことが分かり、再現性の低い要因であることも明らかになった。また、異種分子の多値動作に向けてフタロシアニン分子とフッ素化フタロシアニン分子それぞれ単体において分子軌道を介した単一電子トンネル電流を観測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請の課題である異種分子をドットに用いた多値メモリおよび光異性化分子を用いた光制御メモリの実現に向けて幾つかの重要な成果が得られた。まず異種分子を用いた多値メモリ動作へ向けてフタロシアニンおよびフッ素化フタロシアニン分子それぞれ単体において分子軌道を介した単一電子トンネル電流を観測した。異なる閾値で単一電子トンネル電流が観測されることから上記の2つの分子を共蒸着することで多値化が実現できると期待できる。さらに光制御メモリの実現に向けて光異性化反応によって単一電子トンネル電流の閾値を制御できることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
異種分子を用いた多値メモリ動作へ向けてフタロシアニン分子およびフッ素化フタロシアニン分子を共蒸着し、異なった電圧でそれぞれの分子へ単一電子トンネリングを誘起させることに取り組む。合わせて、光制御メモリの実現に向けて再現性を上げるためにジアリールエテン分子の再蒸発を抑制することに取り組む。シランカップリング反応によりジアリールエテン分子自己組織化膜をトンネル絶縁膜上に形成できれば分子と絶縁膜との間に共有結合を形成できるので再蒸発が抑制できる。上記目的を達成するための分子合成にはすでに成功している。
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Research Products
(6 results)