2011 Fiscal Year Annual Research Report
異種半導体界面制御に基づく高効率Cu2ZnSnS4薄膜太陽電池
Project/Area Number |
23686056
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
峯元 高志 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80373091)
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Keywords | 高効率太陽光発電素子 / 結晶成長 |
Research Abstract |
Cu(In,Ga)Se2が低コスト・高効率な化合物薄膜太陽電池の光吸収層として大きな注目を集めている。Cu(In,Ga)Se2太陽電池は20%と高変換効率であるが、材料に希少元素のInとGaを使用しており、またSeを使用するため環境負荷が懸念される。そこで、InとGaを資源が豊富なZnとSnで、SeをSで置き換えたCu2ZnSnS4(CZTS)が大きな注目を集めている。本研究では、変換効率10%の実現を目指す。本年度は、Cu2ZnSn合金ターゲットを用いたスパッタ法により成膜したCu-Zn-Sn合金膜を、硫黄雰囲気下で熱処理することによってCZTS薄膜を成膜した。初期的な検討の結果、硫化時にドームを抑制する必要があること、組成を精密に制御することが課題であることがわかった。ドーム抑制を目的にCu2ZnSn合金ターゲットを用いたスパッタの成膜条件でスパッタ電力及びWorkingPressureの変化について実験を行った。その結果、すべてのCu-Zn-Sn合金膜は平坦であり、組成は全てCu-p00rであった。組成に対するWorking Pressure依存性はあまり見られなかった。XRD解析結果からはいくつかの合金の相が存在することがわかった。組成分析では酸素は検出されたが、XRD解析結果より酸化物のピークが見られなかったことから、酸化物はアモルファスの状態で膜中に存在していると考えられる。次に、S量を変化させて硫化を行った。S量は少ないと膜がCZTSになりきらず、多いとMo界面に高抵抗なMoSが形成された。また、硫化条件を変化させて実験を行ったが、ドームの抑制はできなかった。今後は、組成制御と熱処理温度プロファイルを改善することによってドーム形成が抑制できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜厚2ミクロン程度のCZTS薄膜を形成することに成功した。おおむね平坦な膜が得られたが、気泡が破裂しかけているようなドームが形成された。このドームが原因で、太陽電池化のした場合に、上部電極と下部電極が短絡してしまう。これは、熱処理温度プロファイルと組成制御によって解決できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の最も大きな課題はドームの形成である。このドーム形成を抑制できれば、太陽電池化した際の上部電極と下部電極の短絡を抑制できると考えられる。まずは、報告されている適切な組成に制御したCZTS膜を作製する。そのために、スパッタリング装置の拡充を行う。具体的には、スパッタリング源を追加し、多元スパッタリングを行うことで、組成制御性の高いCZTS薄膜を形成する。その後、硫化条件(特に、温度プロファイル)を詳細に検討する。次に、太陽電池化を行い、最適なスパッタ条件と硫化条件を見出す。
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