2012 Fiscal Year Annual Research Report
Vapor‐Assisted低温大気圧接合による有機・半導体薄型基板の一括混載
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23686057
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
重藤 暁津 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (70469758)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 接合 / 低温 / 大気圧 / 実装 / インターコネクション / ヘテロインテグレーション |
Research Abstract |
平成24年度は,まず平成23年度から引き続いて,紫外光照射を用いる低温接合手法のプロセス条件明確化を行った.これは,真空紫外光(波長172 nm以下)が,材料初期表面の吸着汚染分子層の除去のみではなく,金属自然酸化膜からの一部酸素脱離と,それに伴う水分子吸着能の向上に有効であると実証したことに起因する.従来の有機基板洗浄法では酸素雰囲気を用い,オゾンを発生させることにより清浄化効果を得ていたのに対し,本手法は大気圧窒素雰囲気で実施するため,接合プロセスの完全大気圧化(およびそれに付随する装置簡易化や低消費電力化)と無毒化に貢献しうると期待される. 接合対象材料は,ガラス,石英,PDMS(ポリジメチルシロキサン),ポリイミド,Cu,Tiとした.これらの材料初期表面の構造を明確にした後,水分子の吸着に適した化学的結合状態を得るための真空紫外光照射条件をX線光電子分光法などで検討した.その結果,前年度と同様に,新たに検討対象に加えた材料においても入射水分子で膜厚が制御可能で,金属表面については水和物,PDMSについてはシラノールリッチなSiO2化,ポリイミドについてはカルボニル基の水酸基置換による架橋形成が可能であることが示された. 電子顕微鏡による界面微細構造観察では,これらの架橋層内での脱水縮合反応が強固な結合を形成し,その後バルク内部からのイオン供給により経時的に安定した酸化物に移行することが判明した.光学特性測定装置による透過性評価では,バルク材料と遜色ない透過性を示した.金属接合界面については,架橋層厚が良好に制御されている条件下では数um・cmの非常に低い抵抗率が得られることを見いだした.関連研究内容の一部は国際学会で表彰されたほか,新聞記事での紹介や,特許申請もなされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当初,平成24年度に予定していた検討項目事項は次の通りである:1) 金属微粒子を混合した蒸気雰囲気における架橋性薄膜形成条件の具体化,ならびに2) 応用可能性検討用試料の設計と試作. このうち,1)については,既に海外で金属微粒子を用いた混載接合手法が提案されていることや,ガラス・樹脂接合界面に金属イオンを含有することが絶縁性など応用性の観点から好ましくないことなどから,真空紫外光併用によるvapor-assisted手法の完成に比べて実施優先度が低いと判断した.そのため,微粒子を用いた手法は金属-金属の場合のみに留めることとする.真空紫外光併用vapor-assisted手法については,多くの電気・光学・バイオ系デバイス材料について大気圧低温混載接合の可能性を示した.また,架橋層形成にエタノールなどの低分子量有機溶剤を用いることで,水和物や水酸基以外の架橋分子層形成が可能であることも明らかにした.これらは当初の計画よりも進んだ内容である. 2)については,計画通り,金属薄膜電極を形成した試料を用いた接合実験を行い,層厚を良好に制御した条件で得られた接合界面では,バルク材料と遜色ない低抵抗率を得られることを確認した.高温保持試験も行い,実用上十分な電気的性能を有することを実証した.また,透明基板の接合界面の光透過性評価や,キャビティなどの立体構造を有するPDMS基板設計などを行った.これらは当初計画と合致するものである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては,1) 前述の真空紫外光併用vapor-assisted手法のプロセス簡易性をより高め,実用性を向上させるための検討と,2) 実デバイスへの応用可能性検討を行う.1)については,特にある程度の粗さを有する金属-金属接合における密着性向上を図る目的で,金属微粒子をコロイド分散させた有機溶剤を架橋層形成に用いるためのプロセス条件を検討する.具体的には,コロイド溶剤を接合装置チャンバ内に設置されたスプレーユニットで供給し,導入量と吸着挙動の相関などを調査する.微粒子溶剤はすでに入手ずみであり,スプレーユニットについても設計が終了している段階であるため,当初の計画通り実施が可能と考えられる.2)については,トレンチやキャビティ構造などを有する透明樹脂基板どうし,または配線金属を有する従来電子基板との混載接合を実施し,光透過性・反射性のバルク材料との比較や,高温保持試験などによる電気的・機械的信頼性評価を実施する.立体構造基板の設計は終了し,試作段階であることや,接合条件の最適化はほぼ終了していることから,これらも遅滞なく実施可能と考えられる.
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Research Products
(19 results)