2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗原応答性ハイドロゲルに基づく匂いセンサの高感度化とその応用
Project/Area Number |
23686062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野寺 武 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (50336062)
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Keywords | 計測工学 / センサ / ハイドロゲル / ポリマー / 抗原抗体反応 |
Research Abstract |
抗原応答性ハイドロゲルに基づく高感度匂いセンサ開発のため,ハイドロゲルの材料であるポリビニルアミンの作製条件等の詳細な検討を行ったビニルホルムアミド(NVF)に水溶性アゾ重合開始剤を加え,固体状のポリビニルホルムアミドを得た.ポリビニルホルムアミドは有機溶媒に不溶であるが水に易溶であり,得られた固体を溶解・精製し,凍結乾燥を行い,ポリビニルホルムアミドを回収した.ポリビニルホルムアミドのアミノ基導入のための加水分解時間を検討し,加水分解率をフーリエ変換赤外分光法による測定結果から求めた.抗体結合性の評価のため,金センサ表面にオリゴエチレングリコールを有する自己組織化単分子膜を形成し,ポリビニルアミンをアミンカップリングにより固定化し,3次元的なセンサ表面を構築した.この時,センサ表面作製時めポリビニルアミン濃度およびpHの最適化を行った.抗体の結合性は,トリニトロトルエン(TNT)の類似物質(DNP-グリシン)をアミンカップリングによりポリビニルアミンに固定化し,25ppm抗TNTモノクローナル抗体を用いてを調べた.その結果,加水分解率10%程度のポリビニルアミンを用いると,表面プラズモン共鳴(SPR)センサ測定におけるタンパク質の非特異吸着をほぼ抑えられることがわかった.また,ポリマーを固定していないセンサ表面(2次元的表面)で得られていた結合量の3~5倍の結合量を得ることができた.また,500ppb抗TNTモノクローナル抗体を用いて,間接競合阻害法によりTNT測定を行い,検出限界は,100ppt程度となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究費で購入したフーリ工変換赤外分光分析システムおよび既存備品による分析により,効率よくポリマーの評価を行うことができ,評価結果をセンサ表面作製条件の設定に迅速に反映できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
ポリビニルアミンへのTNT類似物質の導入方法の条件検討を継続して検討して行い,より高感度なセンサ表面を構築していく.その後,抗原応答性ハイドロゲルの形成を行い,SPRセンサ等に適用する.また,ポリビニルアミン以外の親水性ポリマーを導入することも検討する.学会発表,論文投稿を行う.また,学会参加および文献調査により,新規の知見を取り入れながら,研究を進める.
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Research Products
(1 results)