2011 Fiscal Year Annual Research Report
砕波帯における長周期変動成分場の広域観測手法の構築とその物理機構の解明
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23686070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 芳満 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20420242)
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Keywords | 長周期波 / 砕波帯 / 遡上域 / 画像監視 / 非線形分散波モデル / 砕波モデル / 大規模渦 / 波群 |
Research Abstract |
近年頻発している高潮や高波に伴う沿岸域災害では被害が局地化する事例が見られ、このような被災外力の集中には、砕波帯周辺で卓越する波・流れの長周期変動成分が強く影響していると考えられる。しかしながら激しい波・流れが卓越する砕波帯周辺では計測機器の設置が困難で、現地観測に基づく実証的な現象解明が十分に進んでいない。本研究では、特に砕波帯周辺における長周期変動成分の生成・伝播過程を定量的に計測可能な現地観測手法を新たに構築し、現地における実証データを得るとともに、得られた知見に基づき数値モデルを構築し、長周期成分による影響を考慮した新しい減災対策手法の考案に資する波・流れ場の予測技術の開発を試みる。研究初年度の平成23年度は、観測システム構築のための現地観測と室内実験、さらに数値モデルの構築を実施した。現地観測では、砕波帯内の砂面下に水圧センサーを埋め一週間の水位変動を計測し、砂面下であっても長周期変動成分を妥当に計測可能であることを確かめた。さらに、台風12号来襲時における遡上帯をビデオ撮影し、遡上帯における水・陸境界の時間変動が確かに長周期変動を伴っている様子を定量的に抽出・確認できた。さらに室内実験では長周期成分と短周期波を同時に入射させた条件で水位の計測に合わせて遡上帯のビデオ撮影を行い、水位計測結果と画像解析による水際線の変動特性が良く一致することを確認した。モデルでは、非線形分散波方程式に大規模渦のモデルを組み込み、長周期変動成分の生成に大きく寄与すると考えられる波による質量輸送量を精度よく算定可能なモデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りほぼ順調に活動が行えており、途上段階ではあるものの研究成果も出ており、投稿済み、さらに投稿予定の論文も複数あるため。
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Strategy for Future Research Activity |
イベント時における観測が必要であり、研究期間中にタイミングよくイベントを捉えられない可能性もゼロではないが、できる限り高波浪時のデータを多く取得し、観測システム構築およびメカニズム解明のための基礎データの蓄積を図る。
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