2011 Fiscal Year Annual Research Report
降雨粒径分布のリアルタイム推定による最新型偏波レーダー雨量計の開発
Project/Area Number |
23686072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 弘誠 京都大学, 生存基盤科学研究ユニット, 特定研究員 (90551383)
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Keywords | 水文気象 / 自然災害 / 偏波レーダー / 雨滴粒径分布 / 降水量推定 |
Research Abstract |
1.降雨粒径分布の同期観測(準備観測):本研究の根幹をなす観測となる"降雨粒径分布に焦点をあてた偏波レーダー・マイクロレインレーダー・ビデオゾンデ・巨大雨量計の同期観測"に関して、H23年度は準備観測として位置づけて、係留ビデオゾンデ以外の部分の観測機器を設置し観測を開始した。また、次年度に挑戦するビデオゾンデを用いて直接観測によって雨滴粒径を測り、偏波レーダーからの推定値と比較し、雨滴粒径分布の3次元的分布を明らかにしていく。 2.巨大雨量計を用いた転倒マス雨量計の空間代表性と雨滴捕捉率の評価:集水面積10m^2を持つ巨大雨量計を設置し、直近においている通常の転倒マス雨量計と比較した。その結果、巨大雨量計の方が大きい値を示した。転倒マス雨量計の集水口が小さく乱流によってうまく雨滴を補足できないことに起因する。次年度は3D風速計とカメラを取り付けて、風速との関係性を明らかにしていく。 3.偏波レーダーによる雨滴粒径分布の推定:偏波パラメータの位相差変化率を用いて、強雨時の雨滴粒径分布推定手法を開発した。位相差変化率を粒子数で除するという概念を導き、その新変数が粒径分布と極めて相関が高いことを示した。強雨時における粒径分布の推定精度は従来手法の0.1から0.3へと向上した。さらに新推定手法を用いて対流雲の粒径分布構造を解析し、大気上空での豪雨のタマゴのときは粒径分布の中央値は大きいものの数濃度が低いこと、またそれらが落下する上で粒子数が増えていることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に予定していたことに加えて、偏波レーダーを用いた粒径分布推定の新手法を開発することができた。これによって、これまで困難とされてきた強雨時の粒径分布推定が可能となった。学術的に極めて大きい成果であり、加えてこの手法を用いて積乱雲内部の粒径分布を3次元的に捉えることができていることから工学的応用の観点からも非常に大きな成果であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同期観測を実施して、そこで得られる基礎観測データを用いて雨滴粒径分布の時間発展モデルを構築していく。
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Research Products
(11 results)