2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛍光分子を用いた環境水のオンサイト分析に耐えうるイオン一斉分析システムの開発
Project/Area Number |
23686074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 久 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80326636)
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Keywords | 有害イオン / 環境分析 / ナノ材料 |
Research Abstract |
重金属、硝酸・亜硝酸、フッ素、ホウ素は過剰に摂取すると健康を害するため、我が国やWHOの水道水質基準項目に含まれている。現在これらの微量汚染物質はICP、原子吸光、液体クロマトグラフなどの大型の分析装置によって測定されている。これらの装置は、オンサイトで分析ができない、分析精度は高いが分析に時間がかかる、分析に膨大なコストがかかる、などの問題がある。オンサイト分析法として、ボルタンメトリー法、電気化学的分析法、比色法などがある。これらの方法は検出限界値が高い、一斉分析できない、他の物質の阻害を受ける、といった問題がある。すなわち、既存の技術では、環境水中(水道水源、排水、河川水、湖沼水など)の微量汚染物質をオンサイトで頻繁にモニタリングし、汚染が確認された場合に迅速に対応することは不可能である。よって本研究では、微量汚染物質(特に有害イオン)を、オンサイトで簡便に一斉分析できる、ナノマテリアルをコア技術とする新規の分析システムを開発する。 H23年度は、新規イオン認識蛍光ナノマテリアルを4種類合成することに成功した。さらに、ナノマテリアルの特性評価を行った。Zn2+を用いでナノマテリアル1の蛍光滴定実験を行った。Zn2+濃度の増加に伴い,蛍光色素由来の波長539nmの蛍光の強度は徐々に低下した。一方、色素とZn2+との錯体が発する波長566nmでの蛍光の強度は増大した。この2波長での蛍光強度比はZn2+濃度の増加に従って増大し、R値をZn2+濃度に対してプロットすることでシグモイド型の検量線を得た。定量範囲は0.04mg/Lから30mg/Lであり、検出限界は0.01mg/Lであった。 ナノマテリアル1を用いて、環境水(路面排水)中のZn2+濃度を定量した。ICPを用いて測定したZn2+濃度と、ナノマテリアル1を用いて測定したZn2+濃度が、完全に一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった「ナノマテリアルの合成および特性評価」に加えて、環境水サンプル測定を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はナノマテリアルに固定化部位を導入し、ガラス基板に固定する。
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Research Products
(15 results)