2012 Fiscal Year Annual Research Report
水環境ウイルスライブラリの構築と水中ウイルスの網羅的同定技術の開発
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23686075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
真砂 佳史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50507895)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ウイルス / 遺伝子 / 次世代シーケンシング |
Research Abstract |
平成24年度は,下水中のウイルスを網羅的に同定することを目的として,下水ウイルスゲノムライブラリを構築し,次世代シーケンサーを用いてウイルスの網羅的同定を行った。検出対象として,多くのヒト病原ウイルスが属する+鎖RNAウイルスを選択した。これまでに開発した手法を用いて流入下水を濃縮し,+鎖RNAウイルスゲノムを抽出した後,+鎖RNAを非特異的に逆転写および増幅することで,ウイルスゲノムライブラリを構築した。逆転写および増幅の際ウイルスの構成比が変わらないことを証明するため,3種のウイルス(マウスノロウイルス,ポリオウイルス,バクテリオファージMS2)を既知の濃度比で混合した模擬ウイルスライブラリを作成し,定量PCR法により増幅後のゲノム比を評価した。その結果,増幅前後でゲノム構成比が変化しないことが確認できた。 構築したウイルスゲノムライブラリを次世代シーケンサーを用いたメタゲノム解析に今日することで,流入下水中の+鎖RNAウイルスを網羅的に同定した。これにより,28種のウイルスが同定された。その中でヒトに感染するウイルスはノロウイルス,アイチウイルス,アストロウイルス,サポウイルス,コサウイルスの5種類であった。コサウイルスはこれまで日本で検出された報告はなく,本研究によりコサウイルス感染症が国内でも発生していることが示唆された。 以上の結果より,下水中のウイルスの網羅的同定を目的とした下水ウイルスゲノムライブラリの構築に成功したと判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はRNA合成効率の評価,手法全体の検出効率の評価,試料の前処理方法の選択,遺伝子解析手法の決定の4点に取り組む計画であった。一部完了していない課題があるが,平成25年度に行う予定であった環境試料への適用可能性の検討をすでに開始しており,全体としては順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで順調に進展しているので,平成25年度はさらなる発展を目指し計画通りに研究を進める。平成25年度は,これまでに開発した手法を環境試料に適用し,実証試験を行う。また,最終年度にあたるため,論文投稿等成果の公表に努める。
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Research Products
(3 results)