2011 Fiscal Year Annual Research Report
繊維補強樹脂を用いた高強度高靭性木質構造耐力要素の開発
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23686080
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 慎也 広島大学, 工学研究院, 助教 (30325154)
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Keywords | FRP / 木質ラーメン構造 / 大断面 / 集成材 / ドリフトピン / 紫外線硬化型 |
Research Abstract |
本年度は,以下に示す耐久性能試験を広島大学における恒温恒湿装置及び屋外暴露ヤードを利用して実施した。 1.温冷繰り返し促進劣化試験 2.屋外暴露試験 室内実験で実施する温冷繰り返し促進劣化試験は,本年度内に終了したが,屋外暴露試験については,長期の経年劣化性能を検討するために,次年度以降まで継続して実施中である。これらの耐久性能試験の結果より,温冷繰り返し促進劣化試験および3か月間屋外暴露試験では,FRPの接着耐力の劣化はあまり見られないことが確認された。しかしながら長期の屋外暴露経年劣化性能については,次年度以降に引き続き検討をする計画である。 また本年度はこれらの耐久性能実験と並行して,集成材(JAS:E105-F300,断面形:幅120mm×せい360mm)によるモーメント抵抗型接合部要素試験体を作成し,接合部の曲げ試験を実施した。試験体は,鋼板挿入型ドリフトピン接合における一方向木質ラーメン接合部であり,上FRP補強のない仕様とFRP補強を施した仕様を比較することで,接合部の基礎的な耐力性能を検証した。その結果,接合部の最大曲げモーメントは80kNm,接合部回転角は0.05rad程度までの靱性能を有している接合部性能を確認した。また,上FRPにより,接合部の初期回転剛性を1/9倍程度改善されることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた以下の実験をそれぞれ実施し,想定していたおおむねの結果を得ることができたため。 基礎実験(耐久性能試験)の実施→耐候性能を検証(一部継続して検討中) 要素実験(接合部試験)の実施→接合部の基礎的な耐力性能の検証
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画では,大型の実大試験体の加力実験を計画している。当初の計画では,大型の試験が広島大学で実施が困難なため,建材試験センター西日本試験所(山口県)で実験を行う計画であった。しかし近隣の近畿大学工学部の実験棟において実験の実施が可能となったため,そちらで実験を実施するように計画を変更する。したがって,平成24年度に予算計上していた研究実施場所借り上げ費(60万円)と試験体の運搬費(20万円)は,近畿大学工学部での加力実験のための試験体製作費と治具製作費にあてることで,より効果的な実験を計画する。
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