2011 Fiscal Year Annual Research Report
人口3割減時代の地方都市における社会的企業を核としたPPPによる1万人定着モデル
Project/Area Number |
23686087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 傑 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80333631)
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Keywords | コミュニティ / ソーシャル・キャピタル / 社会的企業 / 住宅地 / 人口減少 / アフォーダビリティ |
Research Abstract |
本年度は、産業革命期移行の主としで欧米においで先駆的に展開されてきたコミュニティ開発に関して、時代ごとのパイロット的なプロジェクトを中心にレビューを行った。例えば,英国のニューイヤーズウィック、レッチワース、ハムステッドガーデンサバーブ等、米国のラドバーン、グリーンデイル、セレブレイション等、および日本のニュータウンおよび社宅街について、学術的資料の蓄積が多い事例を取り上げ、当時の祉会背景・歴史的文脈と照らし合わせながら、特に人口規模と生産活動および社会福祉の視点から再評価と体系化に取り組んだ。また.レッチワース、ハムステッドガーデンサバーブに関しては、当時の実験的な居住環境デザインがどのように維持されてきたのか,または、どのように改善されてきたのかについて詳細な情報を収集すべく現況調査を実施した。 分析・考察については、これら歴史的コミュニティ開発のレビューにおいて、特に1万人という規模設定がどのような意味をもち得るのか/もち得たのか、社会・経済・組織・建設等の複合的観点からそれらの計画輪の構造の再解釈を試みた。例えば、ハワードの田園都市は3万2千人の規模が想定、ラドバーンの計画人口は2万5千人、近隣住区の単位は5~6千人であったが、2倍や3分の1といった人口(1万人)がもたらす生活や生産が、成長時代のコミュニティ計画論の中で単位モデルとして再定義し得るかという論点の整理を行った。 加えて、コミュニティ開発における社会的企業の役割の視点からの再考を行った。ここでは特に、社宅街・企業開発住宅地に注目した。社会的企業によるコミュニティ開発が成長時代においてどのような計画論的発展をなしたのかをレビューするともに、その意義と課題を今日の人口減少の状況と照らし合わせながら検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って概ね順調に研究は進行している。来年度以降についても、応募時の研究テーマと骨子に沿って取り組むが、昨年の東日本大震災により、研究の仮説とフィールドの設定に再考すべき点が見いだされつつある。平成24年度の交付申請においては、より研究の成果が得られるよう研究計画を洗練させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
米国における先駆的1万人アフォーダブル・コミュニティ開発のケーススタディに取り組むとともに、国内1万人過疎地域における社会的企業によるニッチ戦略ビジネスのケーススタディとして、コープさっぽろ・あかびら店による大型小売店舗の過疎地域出店事業に注目する。赤平市はかつて炭鉱業で栄え、最盛期には5万9千人の市民を擁していたが、その後の衰退により現在では1万3千人人弱まで落ち込んでいる。このような過疎地域において、約3,000m^2の大型店舗を新たにかまえることは非常に稀であり、小学校跡地へ店舗を建設している点が特徴である。既に先行研究により事業スキームの分析は終えており、本研究では、実際の店舗がどのように経當され、地域住民にどのように利用しているのか等について追跡的・経年的なアセスメントに取り組む。
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