2012 Fiscal Year Annual Research Report
人口3割減時代の地方都市における社会的企業を核としたPPPによる1万人定着モデル
Project/Area Number |
23686087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 傑 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80333631)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人口減少 / 地方都市 / コミュニティ / 過疎化 / PPP |
Research Abstract |
本年度も昨年度から継続して、産業革命期移行の主として欧米において先駆的に展開されてきたコミュニティ開発に関して、時代ごとのパイロット的なプロジェクトを中心にレビューを行った。社会的企業によるコミュニティ開発が成長時代においてどのような計画論的発展をなしたのかをレビューするともに、その意義と課題を今日の人口減少の状況と照らし合わせながら検証した。また、56th IFHP WORLD CONGRESS GOTHENBURG 2012に参加すると共に、デンマーク・コペンハーゲン郊外のブレンビー住宅地について、当時の実験的な居住環境デザインがどのように維持されてきたのか、または、どのように改善されてきたのかについて詳細な情報を収集すべく現況調査を実施した。これら歴史的コミュニティ開発のレビューにおいて、特に1万人という規模設定がどのような意味をもち得るのか/もち得たのか、社会・経済・組織・建設等の複合的観点からそれらの計画論の構造の再解釈を試みた。 加えて、コープさっぽろ・あかびら店による大型小売店舗の過疎地域出店事業のレビューを行った。赤平市はかつて炭鉱業で栄え、最盛期には5万9千人の市民を擁していたが、その後の衰退により現在では1万3千人人弱まで落ち込んでいる。このような過疎地域において、約3,000㎡の大型店舗を新たにかまえることは非常に稀であり、小学校跡地へ店舗を建設している点が特徴である。赤平店では、総合病院に隣接するという立地を活かし、組合員は無料で利用できる巡回バスを提供、店舗内にはテレビや飲み物を備えた待合スペースを用意している。既に先行研究により事業スキームの分析は終えており、本研究では、実際の店舗がどのように経営され、地域住民にどのように利用しているのか等について追跡的・経年的なアセスメントを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って概ね順調に研究は進行している。来年度についても、応募時の研究テーマと骨子に沿って取り組むが、2011年3月の東日本大震災により、研究の仮説とフィールドの設定に再考すべき点が見いだされつつある。平成25年度の交付申請においては、より研究の成果が得られるよう研究計画を洗練させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
大型小売店舗の過疎地域出店事業を成功させたコープさっぽろの取り組みを単なる経営戦略の一つとしてではなく、社会的企業によるビジネスをトリガーとして、地域における未利用・低利用な公共施設群を玉突き的に再編し、自治体・住民・社会的企業のWIN-WIN関係のもとで公共サービスの適正規模化を推進、コミュニティ賦活へ繋げるモデルへと発展させる。 仮説モデルの実地展開の対象として、北海道上士幌町を取り上げる。まち全体の公共施設再編に関する町民・自治体との共同によるワークショップ等を通して、持続的な人口定着へ向けての具体的・実際的課題を明らかにする。以上を踏まえ、人口3割減が予想されている地方都市において、社会的企業を核としたPPPを通じて、人々が地方で定着して自立的・持続的に生活するための理論を実証的に構築し、実際的適用へ向けての具体的方策を考案する。
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