2011 Fiscal Year Annual Research Report
多元系材料の第一原理熱力学計算への一般的な精度向上技術の開発
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23686090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
世古 敦人 京都大学, 工学研究科, 助教 (10452319)
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Keywords | 第一原理計算 / 状態図 / セラミックス / 長距離相互作用 / クラスター展開法 |
Research Abstract |
本研究では,長距離相互作用を効率的に考慮しうる第一原理熱力学計算の開発を行う.具体的には,第一原理計算から原子間の相互作用を抽出する方法として,クラスター展開法を採用し,クラスター展開法の枠組みの範囲内で長距離クーロン相互作用を含めた二体間相互作用を評価する方法を開発する.平成23年度は,長距離相互作用を取り扱う理論・方法の構築,プログラムの開発を行った.具体的には,長距離相互作用を取り扱う方法として,短距離相互作用を実空間クラスター展開法により高精度に取り入れ,長距離相互作用を遮蔽されたクーロン相互作用として近似する方法(点電荷近似)を提案し,プログラムの開発を行った.さらに,開発したプログラムを用い,陽イオンの副格子がFCCである単純なカルコパイライト構造の点電荷モデルにおいて,それぞれの手法に基づいた計算を行った.この点電荷モデルにおける計算を通して,今後実施する多元系材料における長距離相互作用計算に対する指針を得た.さらに,高精度クラスター展開を行うための構造母集団の分類に基づいた構造選択・誤差評価の方法を提案し,それに関するプログラム開発を行った.開発した方法をMgAl204スピネルなどに適用した結果,クラスター展開法の予測精度が向上することが分かった.特に非稠密な結晶構造を持つ系においては,構造選択や誤差の高精度評価は重要であり,開発した方法を用いることにより,従来の方法よりも自由エネルギーや平衡状態図の高精度予測が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画において,予定していた事項はほぼ完了した.さらに平成23年度の研究計画では予定していなかったクラスター展開の精度向上のための手法開発を行うなど,当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では,順調に進展している.今後も研究計画通り研究を推進する予定であるが,研究を遂行する上で問題点が出てくることも予想される.具体的には,採用している方法では,適用する系によっては精度が悪い可能性がある.その場合,モデルの拡張などを行う必要があるかもしれない.その際,可能な限り自動化して作業を行い,効率的にプログラム開発を行うため,無償で公開されているソースコードを積極的に利用する.
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Research Products
(7 results)