2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ液滴を原料とするレーザーCVD法の開発と機能性セラミックス膜プロセスへの応用
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23686096
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
木村 禎一 一般財団法人ファインセラミックスセンター, 材料技術研究所, 上級研究員 (10333882)
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Keywords | 化学気相析出 / 静電噴霧 / 成膜プロセス / セラミックス |
Research Abstract |
本研究は、静電噴霧によって生成したナノ液滴をCVD原料として利用した「静電噴霧CVD」の開発に関するものであり、機能性セラミックス膜製造プロセスの創製を目的としている。今年度研究では、静電噴霧法による原料供給部に関して、次年度に予定している成膜装置の設計のための基礎的実験を実施した。原料供給部の構成は、液体ポンプ、原料吐出金属ノズル、直流電位装置であり、液体供給量、金属ノズル内径および先端形状、電位等を変化させた際の液滴の発生状況を調べた。また、金属ノズルからの粗大液滴を基材に到達させないための金属ノズル-基材配置に関しても検討を行った。有限要素法による電界シミュレーションによって、噴霧に適した電極形状および電極配置についての知見を得た。 内径0.25mmのノズルを用いた場合、印加電圧4kV以上でテイラーコーンが生じ、ミストが生成した。電圧の増大とともにテイラーコーンは長くなったが、7kV以上の電圧ではノズル先端に2つのコーンが生成し、ミストは不均一となった。また、印加電圧4~7kVにおいて生成した液滴は、吐出速度が小さく、また、印加電圧が高いほど微細化した。ノズル先端から40mmの距離に置いた金属(SUS316)基材に負の電圧を印加させた場合でも、ミストの発生状況にはほとんど変化は見られなかったが、生成したミストが基材に集中して飛翔した。ノズルと基材の配置については、上部ノズル・下部基材の配置では、ミストが発生する直前に生成する大きな液滴が基材に落下してしまったが、上部基材・下部ノズルの配置では、微小液滴のみが上部に拡散した。ただ、ノズルの固定治具に液滴が付着してノズル治具間で放電する場合があった。ノズルと基材を水平に並べた場合は、比較的長時間安定して微細ミストを供給することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静電噴霧に関する基礎実験を実施し、次年度の成膜装置設計に必要な知見をほぼ計画通り収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に静電噴霧CVD成膜装置を導入し、成膜実験を開始する。材料としては、これまでのCVDではLiを含む化学種の高い蒸気圧のために困難だったLi系酸化物を主たる対象とする。当初計画の変更はなく、十分な成果を得たい。
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