2011 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギーアシストによるFePt垂直媒体の磁化反転制御
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23686100
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
高橋 有紀子 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料ユニット, 主幹研究員 (50421392)
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Keywords | FePt / エネルギーアシスト |
Research Abstract |
本研究では、高保磁力FePtナノ粒子の磁化反転を熱やマイクロ波のアシストにより行うエネルギーアシスト磁気記録方式で4Tbit/in2の記録密度に対応できるFePt系垂直磁気記録媒体の開発を目指す。そのために、4Tbit/in2級のエネルギーアシスト磁気記録に適したFePt系垂直磁気記録媒体を開発し、熱及びマイクロ波を照射することによる磁化反転の静的測定とダイナミクスの測定を行う。本年度は、(1)測定系の立ち上げを行う。これと平行して(2)微細加工の最適化、(3)FePt媒体の微細構造制御を行った。 (1)測定系の立ち上げ:エネルギーアシスト磁気記録は、FePt媒体に照射する熱およびマイクロ波エネルギーのみで磁化反転を起こすわけではなく、これらのエネルギーは磁化反転のエネルギー障壁を減少させる役割を持っている。まずマイクロ波アシストのための測定系の立ち上げを行った。FePt媒体は反転磁界が大きいのでPPMSにマイクロ波を導入する。そのプローブは完成した。エネルギー照射下での磁気特性は異常ホール効果により測定するのでFePtにはPtを積層した。 (2)微細加工の最適化:マイクロ波アシスト用の高周波磁界はFePt媒体上に配線したコプレーナ型ウエーブガイド(CPW)にマイクロ波電流を流し、それより発生する高周波磁場を用いる。それらの微細加工条件の最適化を行った。 (3)FePt媒体の微細構造制御:これまで我々が行ってきた研究ではCをマトリックスとしていたが、FePtとCの総分離傾向が強いために柱状構造が得られず、表面平坦性がわるかった。それを克服するために、TiO2、SiO2、C+TiO2、C+SiO2などの非磁性マトリックスを使ったFePt媒体の作製を行った。その結果、いずれもアスペクト比が増加し表面平坦性も改善されたが、FePt粒子の規則度が低下し磁気特性が悪くなった。さらなるプロセスの最適化が必要であるが、我々が目指している微細構造(平均粒子径約4nm、分散20%以下、柱状構造、良好な表面平坦性)に近付いている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた測定系の立ち上げはほとんど終了し、また測定サンプルの微細加工条件も最適化された。微細構造制御の方も目指すものに近い組織ができている。以上のことからおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は立ち上げた測定系を用いてマイクロ波照射下での磁化反転実験を行う。また微細組織制御の方は、現在行っている材料系でさらなる最適化を進めるとともに他の非磁性マトリックスの検討も行う。
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