2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム基水素化物の原子・表面構造と水素貯蔵機能
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23686101
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
池田 一貴 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (80451615)
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Keywords | 水素 / 水素化物 / 水素貯蔵 / 中性子 / アルミニウム / 結晶構造 / 局所構造 / エネルギー |
Research Abstract |
アルミニウム基水素化物の原子・表面構造と水素貯蔵機能に関する研究を実施した。水素体積密度および重量密度が高いアルミニウム水素化物AlH3やリチウムアルミニウム水素化物LiAlH4について、重水素化物(AlD3、LiAlD4)の中性子散乱測定を大強度陽子加速器施設J-PARCの高強度中性子全散乱装置NOVAで実施してRietveld解析することにより、結晶構造解析の精度が十分であることを確認した。また、軽水素化物に対しては、軽水素原子に由来する非干渉性非弾性散乱のためバックグラウンドを適切に差し引く必要があり、AlH3の結晶構造パラメータにおける標準偏差はAlD3よりも一桁上昇するが、高輝度X線回折の場合と同程度であり、軽水素原子の分率座標および変位パラメータを精密化できた。さらに、AlD3の粒子表面には水素放出反応を抑制する厚さ3~5nmの非晶質Al2O3およびx-Al2O3が存在することをすでに明らかにしているが、AlH3においても同様の酸化物が存在し、それが水素放出過程においても維持されることを確認できた。一方、中性子全散乱測定から得られたAlD3の構1造因子S(Q)をフーリエ変換した原子対相関関数G(r)についてPDF解析を行い、局所構造解析が可能であることを実証した。また、水素雰囲気におけるその場中性子散乱実験を行うため、石英製高圧容器を使用してSi粉末試料などの測定を行い、Rietveld/PDF解析により平均/局所構造解析が実施できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実施予定としていた結晶構造解析はほぼ順調であり、さらに局所構造解析にも着手できた。また、平成24年度に実施予定の表面構造解析に関する結果も一部得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
重水素化物試料の準備が整いつつあるので試料合成および中性子散乱実験を予定通り進める。また、非弾性散乱補正ツールを使用してより詳細な構造解析に挑戦する。
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Research Products
(6 results)