2011 Fiscal Year Annual Research Report
VCナノ析出物を分散させたフェライト・マルテンサイト二相鋼の引張変形挙動
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23686103
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
紙川 尚也 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30530894)
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Keywords | 析出 / 力学特性 / 強化機構 |
Research Abstract |
0.1mass%C-1.5%Mn-0.4%V鋼を用いて、1100℃でオーステナイト化後、690℃で等温保持を施すことにより、微細VC粒子の相界面析出を伴うフェライト変態を生じさせた。690℃変態の保持時間を種々変化させてフェライト変態率を種々変化させ、直ちに水冷処理を施し、未変態オーステナイトをマルテンサイト化した。この手法により、平均直径が数nmの微細なVC粒子が均一に分散した相界面析出組織を有するフェライトと硬質マルテンサイトの二相組織を有する鋼を作製し、その引張変形挙動に及ぼす硬質マルテンサイト体積率の影響を調べた。また、V添加のない0.1%C-1.5%Mn鋼を用いて、同様の等温変態・焼入れ処理を行い、通常のフェライト・マルテンサイト二相鋼を作製した。両者の結果を比較することにより、相界面析出組織の影響を明確にした。 フェライト中にVCの微細炭化物が均一に分散したフェライト・マルテンサイト二相鋼は、マルテンサイトの体積率が高いほど、強度が高くなるという、通常の二相鋼と同様の特徴を示した。しかしながら、V無添加の二相鋼と比較したところ、V添加材の方が、相界面析出したフェライトの影響により、同一マルテンサイト率において強度が高くなることがわかった。一方、延性は、V無添加材に比べて、V添加材の方が低下するものの、全伸びで10~20%以上の比較的大きな伸びを示した。すなわち、相界面析出フェライト・マルテンサイト二相鋼は、非常に高い強度とある程度の延性を示す材料であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備実験の遂行に予想以上の時間を費やしてしまったため、当初予定していた計画に比べて到達度はやや運れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度における研究では、実験手法、あるいは実験条件を決定するための予備実験に多くの時間を費やしてしまった。しかしながら、その結果、実験手法・条件はほぼ確立し、また研究方針も明確であるため、今後、迅速に研究を進め、本年度中に当初の研究計画を遂行していく予定である。
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