2012 Fiscal Year Annual Research Report
VCナノ析出物を分散させたフェライト・マルテンサイト二相鋼の引張変形挙動
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23686103
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
紙川 尚也 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30530894)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 析出 / 力学特性 / 強化機構 |
Research Abstract |
0.1mass%C-1.5%Mn-0.4%V鋼を用いて、VC微細合金炭化物の相界面析出組織を有するフェライトとマルテンサイトから成る二相(dual phase; DP)鋼を作製し、その引張変形挙動を系統的調べた。 VC微細炭化物の相界面析出によるフェライト部の強化により、通常のフェライト・マルテンサイトDP鋼に比べて、材料の強度は大きく向上した。一方で、材料の均一伸びはVCの分散により低下した。ただし、材料の強度・均一伸びバランスは、V無添加鋼とV添加鋼で大きな違いは見られなかった。一方、VC炭化物の分散により材料は高強度化されているにも関わらず、材料の局部伸びはV添加によりわずかに向上する傾向が見られた。すなわち、フェライト部へのVCの分散により、DP鋼の強度・局部伸びバランスを改善できることが明らかになった。 相界面析出組織を有するDP鋼の変形機構を明らかにするために、デジタル画像相関解析により、引張変形中に生じる局所ひずみ解析を行った。通常のフェライト・マルテンサイトDP鋼では、軟質相であるフェライト部に塑性ひずみが集中して変形が進行する様子が観察されたが、フェライト部にVC炭化物が分散したDP鋼では、塑性ひずみの局在化が抑制され、より均一に変形が進んでいることがわかった。すなわち、フェライト部の析出強化により軟質フェライト相と硬質マルテンサイト相の強度差が低下したことにより、不均一変形が抑制されたためであると理解できる。軟質相と硬質相の間の不均一変形の抑制は変形初期の加工硬化を抑制し均一伸びを低下させる一方、変形後期での局部変形時には、転位の堆積等による応力集中を緩和し、ボイドや亀裂の形成が抑制されると考えられる。これにより、フェライト部へのVC分散により材料の強度・局部伸びバランスが向上されたものと理解できる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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