Research Abstract |
本研究では,移流自己組織化を利用したコロイドナノ粒子パターン状配列構造の周期性制御手法の確立を目的とする。用いる手法は,従来の移流集積法に,コロイド粒子懸濁液の液面位置制御プロセスを独自に組み込んだ,液面制御式移流集積法である。液面制御は,プログラム入力によって液の吸引と停止を任意の間隔で運転可能なシリンジポンプを用いて行った。本年度は,吸引の時間間隔,吸引量と形成する粒子細線の幅,細線間隔との関係を詳細に検討した。 シリンジポンプが停止している時間に,粒子はメニスカス先端部に集積し粒子細線が形成する。粒子細線幅は,停止時間とともに線形に増加し,その傾きは,粒子濃度が高いほど大きくなることが明らかになった。これは,定性的には,時間とともに粒子移流量が増加するためである。停止時間と細線幅の関係を定量的に表すべく,メニスカス先端部での物質収支をとることにより,定式化を試みた。モデル式を用いた計算値と実験値を比較したところ,両者は良好な一致を示し,モデル式の定量的な妥当性を確認した。すなわち,本モデル式によって,形成する粒子細線幅が予測可能であることを示す結果である。一方で,吸引量,すなわち液面の降下距離は,粒子細線の間隔と等しくなることが予想されたが,それに反して,細線間隔は液面降下距離より広くなることが明らかになった。これは,停止時間中には,蒸発によって液面が降下するためであり,蒸発による液面降下距離と吸引による液面降下距離の和が,形成する細線間隔になることを明らかにした。蒸発による液面降下距離は計算可能であるため,細線間隔も定式化することができる。モデルによる予測値と実験値は良好に一致し,細線間隔についても,予測可能なモデル式の構築に成功した。また,本法を用いて集積を2回繰り返すことにより,格子状構造を形成できることを確認した。
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