2012 Fiscal Year Annual Research Report
移流自己組織化を用いたコロイドナノ粒子パターン構造制御手法の確立とその応用展開
Project/Area Number |
23686109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 哲 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80402957)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 移流集積法 / 自己組織化 / 金ナノ粒子 / 構造制御 / メニスカス / ストライプ構造 / 格子構造 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究では,移流自己組織化を利用したコロイドナノ粒子パターン状配列構造の周期性制御手法の確立を目的とする。用いる手法は,従来の移流集積法に,コロイド粒子懸濁液の液面位置制御プロセスを独自に組み込んだ,液面制御式移流集積法である。液面制御は,プログラム入力によって液の吸引と停止を任意の間隔で運転可能なシリンジポンプを用いて行った。本年度は,ストライプ状粒子膜堆積メカニズムを明らかにすべく,高速度カメラを用いたメニスカス先端部挙動の直接観察を行った。さらに,金ナノ粒子を用いて,ストライプ状・格子状パターン構造を作成し,透過率と導電率を測定することで透明導電材料としての特性評価を行った。得られた成果は以下の通りである。 1)ストライプ構造形成過程の直接観察 単色光を粒子膜が形成しているメニスカス先端部に照射し,メニスカス表面と基板表面それぞれで反射した光が干渉を起こすことにより現れる干渉縞パターンを解析し,メニスカス形状を求めた。その結果,蒸発の進行に伴いメニスカスはYoung-Laplace式に従った形状を維持したまま引き伸ばされていくが,やがて,ある限界において液膜が破断することを明らかにした。つまり,液膜の破断によって,メニスカス先端部は,接触角で定まる安定な位置に移動し,次の粒子細線の形成が始まる。これが,ストライプ構造形成のメカニズムである。 2)金ナノ粒子格子状パターン構造形成 液面制御式移流集積法を用いて,金ナノ粒子のストライプ状および格子状構造の形成を行った。シリカ粒子を用いた場合と同様に,粒子細線の幅は,堆積時間にほぼ比例し,一方で細線間隔は液の吸引量で決定できることを確認した。格子構造の透過率と表面抵抗は,それぞれ76 %,41Ω/□であり,透過性と導電性を併せ持つことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で設定した目的をおよそ達成することができており,大いに研究が進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
金ナノ粒子の格子構造を作成し,透過性と導電性を併せ持つことは確認したが,さらに性能を向上させることが今後の課題である。透過性を落とすことなく導電性を上げるには,細線の厚みを増やす必要がある。基板の濡れ性の影響を検討することで,厚み制御の実現を目指したい。
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Research Products
(12 results)