2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型高選択的脱酸素反応系に向けたオリンピックメダル金属ナノ粒子触媒の開発
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23686116
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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Keywords | 触媒 / 金属ナノ粒子 / 脱酸素 / 固体 |
Research Abstract |
本申請課題研究は、無機担体固定化オリンピックメダル金属(金、銀及び銅)ナノ粒子の極めて特異的な脱酸素触媒能の高機能化と適用範囲の拡張を目的としている。これまでに申請者はアルコールまたはCO/H2Oを還元剤としたエポキシドやニトロ基の化学選択的脱酸素反応系において、オリンピックメダル金属ナノ粒子が特異的且つ高選択的な触媒活性を示すことを見出している。本申請課題では、分子状水素を還元剤とした高選択的な脱酸素反応の達成を目指しており、そのためには水素を不均一開裂させ、金属ヒドリドを生成させる必要がある。 高選択的な還元反応を進行させるため、種々の担体と金属ナノ粒子のサイズ効果の検討を行ったところ、層状無機結晶化合物であるハイドロタルサイト(HT)に固定化した2.7nmの金ナノ粒子が一気圧の分子状水素を還元剤として効率よくエポキシドを脱酸素し、対応するアルケンのみを高選択的に与えることを見出した。この時、反応時間を延長してもアルケンは全く水素化されない。つまり、極性官能基であるエポキシドのみを脱酸素できる優れた化学選択性を示すことがあきらかとなった。さらに種々の分光学的解析を行った結果、反応は担体と金属との界面で進行し、水素種が担体と金属の界面で不均開裂することが示された。また、本触媒は反応後ろ過により容易に分離・回収が可能であり、反応後再使用を行っても活性・選択性の低下は観られなかった。さらに、反応後の金属ナノ粒子に凝集が観られないことからこの高い耐久性はタルサイトと金ナノ粒子の強い相互作用によるものであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題を検討する中で、より高次な担体と金属ナノ粒子の相互作用が必要であるという着想にいたり、銀ナノ粒子をセリアナノ粒子で包み込んだコア-シェル型触媒Ag@CeO2を開発することに成功した。本触媒は世界で初めて銀ナノ粒子と水素を用いたエポキシド及びニトロ基の化学選択的還元反応を進行させることに成功している。従来の担持型触媒をより高次なコア-シェル型触媒へと展開することができたため当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
開発に成功したハイドロタルサイト固定化金ナノ粒子やコア-シェル型セリア内包銀ナノ粒子触媒を用いて、他の基質適用性を検討していく。またコア-シェル型触媒の化学選択的還元反応への有用性が示されたため、他の金属内包型触媒へと発展させていく。
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Research Products
(42 results)