2011 Fiscal Year Annual Research Report
亜臨界DMEを抽剤に利用する高水分炭の水分と可燃分の同時抽出法の検討
Project/Area Number |
23686117
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
神田 英輝 (財)電力中央研究所, エネルギー技術研究所, 主任研究員 (90371624)
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Keywords | 化学工学 / エネルギー全般 / 二酸化炭素排出削減 |
Research Abstract |
限られた予算で最大の成果を挙げるため、構造を工夫した『回分式・亜臨界観察実験装置』と、自作した『流通式・亜臨界観察実験装置』を用い、ジメチルエーテル(DME)で乾燥ロイヤング褐炭から可燃分を抽出する試験を実施した。また、実験補助の適格者が見つからなかったため、手順書を作成し、これに基づくデータ収集業務を委託して実施した。DMEの量は大過剰とし、20℃・0.51MPa(常温)から、40℃・0.89MPa、60℃・1.45MPa、80℃・2.23MPa(亜臨界)の4条件で実施した。回分式および流通式、20℃から80℃の、全ての実験条件で、乾燥ロイヤング褐炭から、約5重量%の固体の可燃分が抽出された。抽出された可燃分を、20℃のヘキサンで希釈したところ、DMEが20℃の条件で抽出した可燃分の47.1%しか溶解しなかったのに対して、40℃の条件では52.8%、60℃の条件では60.1%、80℃の条件では61.3%が溶解した。このことから、各温度で抽出された可燃分量は一見同じの様であるが、構成物質もしく構成比率が異なることが判明した。抽出された可燃分量を、GC-MSで定性分析した結果、DMEが20℃の条件ではGCピークが67箇所、40℃の条件ではGCピークが68箇所、60℃の条件ではGCピークが89箇所、80℃の条件ではGCピークが71箇所測定された。MSスペクトルより、ベンゼン環を基本構造とする成分以外にも、直鎖状の炭化水素も多く含まれることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択前の予備実験で使用した湿潤ロイヤング褐炭より、乾燥したロイヤング褐炭の方が、可燃分抽出率が低くなる予想外の結果となった。ただし、回分式と流通式の二方式で、同じ抽出率が得られたことから、実験自体に問題がないことが確認できた。水が水素結合した褐炭官能基の方が、水と共に液化DMEで抽出しやすい可能性があり、次年度は当初の計画通り、湿潤ロイヤング褐炭を用いた、可燃分抽出試験を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、湿潤ロイヤング褐炭を用いた、可燃分抽出試験を、実施する。DMEの量は大過剰とし、20℃・0.51MPa(常温)から、40℃・0.89MPa、60℃・1.45MPa、80℃・2.23MPa(亜臨界)の4条件で実施する。これにより、乾燥褐炭の官能基よりも、水が水素結合した褐炭官能基の方が、水と共に液化DMEで抽出しやすいのか、明らかにする。この実験に試行した後、DMEの量を段階的に減らしていき、褐炭可燃分を抽出可能な液化DMEの最小量を明らかにすると共に、褐炭抽出物、および褐炭残渣の性状を明らかにする。
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