2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23686119
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
舟橋 久景 広島大学, サステナブル・ディベロップメント実践研究センター, 特任講師 (60552429)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体機能利用 / 生体材料 / 生物・生体工学 / 細胞デバイス / フェムトインジェクション |
Research Abstract |
本研究では幹細胞から分化した異種系譜の細胞が共存し、それらが協調して機能を発揮する新規細胞デバイス作製のための基盤技術開発を目的としている。平成24年度は平成23年度に開発したDecoy ODN(オトリDNA配列)フェムトインジェクション技術を用いて、標的細胞の転写因子活性抑制制御を通じた標的単一細胞の分化誘導法開発を行った。また異種細胞間機能協調のためのプラットフォーム技術開発に着手した。 標的単一細胞の分化誘導法開発 本年度はまずDecoy ODNフェムトインジェクション法による標的単一生細胞内の目的転写因子活性抑制制御の統計処理を行い、基本技術が確立できていることを確認した。次にES細胞の未分化状態維持に重要な役割を担っていると報告されているOct3/4転写因子の結合配列をDecoy ODNフェムトインジェクション法によって標的生ES細胞へ導入したところ、明らかに形態の変化する細胞と変化しない細胞が存在した。このことは、Decoy ODNを細胞核へフェムトインジェクションしても、細胞状態の個体差が大きいため、単純な同一条件では分化誘導を制御しきれないことを示唆していると考察した。したがって、単一生細胞レベルで目的遺伝子の発現状況を的確に評価する手法の開発が必要であると判断した。 異種細胞間機能協調のためのプラットフォーム技術開発 本年度はインスリンシグナル受容を可視化できるインスリンシグナルアクセプター細胞の作製を開始した。マウスES細胞から二種類のインスリンレセプター遺伝子のクローニングを行った。それらの遺伝子と発光タンパク質との融合タンパク質、もしくは蛍光タンパク質との融合タンパク質を発現するプラスミドを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度はDecoy ODN(オトリDNA配列)フェムトインジェクション技術を用いて、標的細胞の転写因子活性抑制制御を通じた標的単一細胞の分化誘導法開発を行った。 ES細胞の未分化状態維持に重要な役割を担っていると報告されているOct3/4転写因子の結合配列をDecoy ODNフェムトインジェクション法によって標的生ES細胞へ導入したところ、明らかに形態の変化する細胞と変化しない細胞が存在した。このことは、Decoy ODNを細胞核へフェムトインジェクションしても、細胞状態の個体差が大きいため、単純な同一条件では分化誘導を制御しきれないことを示唆していると考察した。このままでは効率的な単一生細胞の分化誘導は困難であることから、平成25年度に対策をとる予定である。 異種細胞間機能協調のためのプラットフォーム技術開発に関しては、インスリンシグナルアクセプター細胞作製のための各種遺伝子のクローニングが順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験結果から、Decoy ODNを細胞核へフェムトインジェクションしても、細胞状態の個体差が大きいため、単純な同一条件では分化誘導を制御しきれないことが示唆された。そこで今後は、効率的な分化誘導を行うために、単一生細胞レベルで目的遺伝子の発現状況を的確に評価する手法の開発を行う。具体的には生細胞内のHes1転写因子をターゲットとして、そのmRNA発現状態の測定が可能な手法の開発を目指す。Hes1転写因子はマウスES細胞において、発現が振動しており、分化誘導時のHes1の発現レベルによって、その後の細胞分化の方向性が決定されていると報告された転写因子である。 異種細胞間機能協調のためのプラットフォーム技術開発に関しては、引き続きインスリンシグナルアクセプター細胞作製を行う。
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