2011 Fiscal Year Annual Research Report
三次元熱伝導率・放射率分布同時計測法の開発と機能的複合材ラジエータ設計への応用
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23686122
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長野 方星 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (10435810)
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Keywords | 複合材料・物性 / 熱伝導 / 放射 / ラジエータ |
Research Abstract |
熱環境変動が大きい月面着陸ミッションや熱環境が未知な小惑星への探査ミッションでは,熱設計の不確かさをパッシブに吸収できる熱制御技術が今後不可欠となる。本申請は,熱拡散性,蓄熱性,自律温度制御性等を有する新しいスマート複合材により,電力を用いることなく大きな熱環境変動にパッシブに対応できる「先進スマートラジエータ」を開発することを最終目的とし,その基材となる先進スマート複合材の異方的な熱伝導率,放射率分布とその温度依存性を,マイクロおよびマクロスケールで計測する手法を確立し,新概念の機能的ラジエータ設計に応用することを目的とする。今年度は以下の成果を得た。 ・周期加熱法とレーザスキャニングシステムを融合させた熱伝導率分布測定装置の開発を行った。クライオスタットに液体窒素とヒータを組み合わせ,温度依存性を測定可能なシステムとした。積層方法の異なるピッチ系CFRP試料を数種類試作し,熱拡散率異方性分布の違いを温度依存性も含め定量的に明らかにした。次に赤外検知システムを導入し,周期加熱を改良した新しい理論により熱拡散率分布を非接触で測定することに成功した。また,赤外信号より放射率分布の推定を行った。 ・新規製作した熱物性分布評価装置を用いて高熱伝導炭素材料の熱拡散率とその温度依存性を明らかにした。またDSCにより比熱の温度依存性を調べ,これらより熱伝導率の温度依存性を明らかにした。高熱伝導炭素材料および複合材料を基材とする新しい自律概念を有するラジエータを考案した。熱物性計測結果を基に自律熱制御ラジエータを設計し,展開時と収納時の放熱特性の差,フィン効率から最適となる形状を決定した。次に自律熱制御ラジエータを試作し,熱真空チャンバーを用いて性能を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り,先進高熱伝導材料の熱伝導率評価手法の基本原理の確立と,独自の自律熱制御概念を有する機能的ラジエータの考案,試作ができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
実部材スケールでの機能的複合材評価を実現するため,大気・室温雰囲気および宇宙模擬環境下でマクロスケールでの熱物性分布同時測定法を確立する。また,高熱伝導炭素材料の熱伝導率と放射率測定に基づく機能的ラジエータの改良,設計を行い,本研究で提案する自律熱制御効果を検証する。
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