2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23686131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松八重 一代 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374997)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 鉄鋼合金元素 / 自動車リサイクル / 資源循環 / 資源散逸・拡散 / スクラップソーティング |
Research Abstract |
我が国における鉄鋼・非鉄金属資源のフローに着目すると、その多くは建築資材あるいは自動車用途材料として用いられている。翻ってスクラップ利用に目を向けると、現状では鉄スクラップの電炉リサイクルでは、合金組成別の選別が不十分であるため、磁力選別で漏れた一部ステンレスに含まれるクロムやニッケル、その他特殊鋼に含まれるマンガン、タングステン等のレアメタルは回収されることなくスラグに移行・拡散したり、あるいは鋼材に含まれる不純物質として蓄積したりしている。このような社会情勢を背景に、本研究課題は熱力学解析の視点からスクラップリサイクル過程において、随伴する合金成分がどのように循環、拡散、散逸しているのかを定量的に明らかにすると同時に、金属スクラップに随伴するレアメタルのさらなる有効利用に向けたシステム提案を行うことを目的とする。 本研究は1)元素の回収可能性および除去限界の解析2)金属スクラップの都市鉱山としての資源量・回収可能量の推計3)スクラップに含まれるレアメタル資源の分別コストと資源性・経済性を考慮した再資源化シナリオ分析と、4)それに伴う環境負荷発生量、経済影響の推定の4つに分けて推進している。 これまでスクラップ解体業者へのヒアリング、サンプル採取を行っており、自動車解体プロセスにおいて発生するスクラップの部品別鋼材別重量推定をすすめてきた。また各部品の合金元素量を蛍光X線分析により推定し、自動車スクラップを鉄源として利用する際に、どの程度の合金元素が電炉に向かうのか、その量の推定を行った。今後はさらに廃自動車の解体コストや再資源化によるレアメタル回収便益に着目して、ELV随伴レアメタルのさらなる有効利用にむけた実現可能なシステム提案に向けた調査を進め、最終年度の総括につなげる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度環境省自動車リサイクル高度化連携事業において、本研究代表者が申請した事業が採択され、それにより小規模ながらも実炉を用いた自動車スクラップ溶解実験を行うことができた。それにより、本研究課題で必要とされているが、実際に計測することが困難であると思われていた実炉におけるスクラップ熔解における合金元素のスラグ・メタルへの分配傾向について重要な知見を得ることができた。 これらを踏まえ、当初計画からの遅れはなく、最終年度の総括に向け、現段階で特に問題点はない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き1)元素の回収可能性および除去限界の解析2)金属スクラップの都市鉱山としての資源量・回収可能量の推計3)スクラップに含まれるレアメタル資源の分別コストと資源性・経済性を考慮した再資源化シナリオ分析と、4)それに伴う環境負荷発生量、経済影響の推定 それぞれの研究を推進する。 引き続きスクラップ解体業者へのヒアリング、サンプル採取を継続し、自動車解体プロセスにおいて発生するスクラップの部品別鋼材別重量推定をすすめる。また各部品の合金元素量を蛍光X線分析により推定し、自動車スクラップを鉄源として利用する際に、どの程度の合金元素が電炉に向かうのか、その量の推定を継続して行う。さらに廃自動車の解体コストや再資源化によるレアメタル回収便益に着目して、ELV随伴レアメタルのさらなる有効利用にむけた実現可能なシステム提案に向けた調査を進め、最終年度の総括につなげる。
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