2011 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法を用いたMA含有酸化物における自己照射損傷プロセスの微視的研究
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23686137
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
徳永 陽 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (00354902)
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Keywords | 自己照射損傷効果 / 格子欠陥 / 核磁気共鳴 / 酸化物燃料 |
Research Abstract |
本研究の目的は、物質内部を微視的に探ることができる核磁気共鳴(NMR)法を用いて、マイナーアクチニド(MA)含有酸化物燃料における自己照射効果に伴う欠陥の形成と蓄積のプロセスを明らかにすることにある。本研究は固体物理における長年の問題であるAmO_2の電子基底状態の解明にも繋がっている。 初年度である平成23年度は、まず研究に必要な無冷媒冷凍機付クライオスタッドとNMR測定システムの購入と立ち上げを行った。クライオスタッドは既存のNMR用無冷媒マグネットに組み込める仕様とした。またNMR測定システムの評価のため酸化銅のCu核のNMR信号の観測を行い、十分な測定感度が得られていることを確認した。 次にプルトニウム含有試料における自己照射損傷効果の評価のため、合成後、約4年間室温保管された^<239>PuO_2試料を用いて^<17>O核のNMRスペクトル測定を行った、その結果、スペクトルの線幅が合成直後のものと比較して約3倍広がり、さらに形状がガウス型からわずかに非対称を持ったローレシツ型へと変化していることが明らかになった。さらに磁場依存性から、この線幅の広がりは主にナイトシフトの分布を起源としたものであることが確認された。これらの結果は、^<239>Puのα崩壊に伴う自己照射損傷が試料内に蓄積され、その結果、酸素サイトの微視的環境の違いが生じたことを示している。今後、^<242>PuO_2試料との比較を行うことにより、自己照射損傷効果のより定量的な評価を行って行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、無冷媒冷凍機付クライオスタッドとNMR測定システムの購入と立ち上げを行うことができた。また^<239>PuO_2試料において^<17>O-NMR測定を行い、実際に自己損傷効果による酸素スペクトルの広がりを確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響で、NMR用試料の準備に必要な一部施設が閉鎖されたため、平成23年度に予定していたAmO_2におけるNMR測定は持ち越しとなった。本実験は当該施設の利用が可能となる平成24年度秋に実施する予定である。
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