2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23687009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荻原 克益 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00422006)
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Keywords | 排卵 / 内分泌 / LH / メダカ |
Research Abstract |
本研究は、メダカ排卵の内分泌制御機構の全容解明を目指して実施された。本年度はその第一歩として、排卵への関与が明らかとなっている核内プロゲステロン受容体nPRとMT2-MMPの発現誘導機構について解析を行った。その結果、以下のことが新たに判明した。 (1)黄体形成ホルモン(LH)によるnPRの誘導には、チロシンキナーゼSykが関与すること。 (2)排卵前濾胞において、Sykタンパク質が常時発現していること。 (3)MT2-MMPの誘導には、卵成熟誘起ホルモンである17α,20β-DHP(DHP)が関与すること。 メダカリコンビナントLH(rLH)を作製し、in vitroで排卵を誘導可能な培養系を用いで解析を行った結果、rLHの添加によりnPRの誘導が確認され、この誘導はSykの阻害剤により阻害された。そこで、Sykリコンビナントタンパク質を用いで抗体を作製し、排卵前濾胞における発現を調査したところ、常時発現していることが確認された。これらの結果は、nPRの誘導にSykが関与することを示唆している。 MT2-MMPは、nPRによって誘導されることが示唆されている。そこで、nPRのリガンドであるDHPがMT2-MMPの発現誘導に関与するかどうかを調査した。DHP産生酵素の一つである3β-HSDの阻害剤であるTrilostaneを培養液に添加後、rLHと共に濾胞を培養したところ、排卵はほとんど観察されなかった。また、MT2-MMPの発現誘導も確認されなかったことから、MT2-MMPの誘導には、DHPが関与することが示唆された。 以上の結果から、nPRおよびMT2-MMP誘導機構の重要な候補因子が判明し、誘導機構の大まかな経路も明らかとなった。今後は、誘導経路についてより詳細に解析を行い、nPRおよびMT2-MMPの発現誘導機構の全容解明に迫る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた4つの研究計画のうち、3計画については実施済みで、残りの1つについても継続中である。翌年度実施予定の計画についても一部前倒しで実施しており、研究目的の達成に向け、おおむね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初計画した実験計画通りに研究を実施していく予定ある。なお、一部予想とは異なる実験結果を得ており、この点に関しては一部計画を修正し、研究を実施していく予定である。
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