2011 Fiscal Year Annual Research Report
低収量生体分子の時間分解計測を目指したマイクロ流体ミキサーの開発
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23687022
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
木村 哲就 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (70506906)
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Keywords | マイクロミキサー / 生体分子 / 蛍光測定 / 化学反応 |
Research Abstract |
分子の自己組織化あるいは分子間結合の分子機構を明らかにするためには、そのコンフォメーション変化を実時間観察することが重要である。特に溶液の迅速混合によって反応を開始する方法は種々の反応場を提供でき、また様々な測定法と用意に組み合わせられるという特長がある。 しかし、従来の方法では大量の試料を必要とするために対象にできる生体試料が限定されており、時間分解能も数ミリ秒程度が限界である。本申請研究では新規のマイクロ流体連続フローミキサーを開発し、顕微分光法と組み合わせることによって、試料の消費量を抑制し、時間分解能を向上させた新規の計測系を構築することを試みた。 平成23年度にはミキサーの開発、及び顕微システムを用いた蛍光強度測定・蛍光寿命測定系の構築を行った。マイクロ流体ミキサーの製作は分子科学研究所装置開発室の協力を得て行い、PDMSを用いたフォトリソグラフィーを行うことで、20μm幅の流路を持つマイクロ流体ミキサーを作製した。このミキサーをOlympus製倒立型蛍光顕微鏡に組み込み、3μmになる蛍光試料が発する蛍光の輝線を捉えることに成功した。また、二重蛍光標識したβバレル膜蛋白質OmpAの発現・精製系の構築に成功した。加えて、マグネシウム輸送膜蛋白質であるMgtEの赤外分光計測を行い、構築した蛍光強度測定系に適した試料であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体分子反応の計測系の構築に成功しており、また計測に資する試料の調製にも成功していることから、当初の予定通り計画が進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザーとピンホールを用いた共焦点系を組み立てることで、より高い空間分解能を実現し、より正確な蛍光強度計測を目指す。検出には蛍光強度計測のほかに、蛍光寿命測定あるいは蛍光相関分光法を用いることで、蛋白質分子に導入した蛍光供与体・受容体間距離などの構造情報あるいは動的性質をそれぞれ明らかにする。
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Research Products
(9 results)