2012 Fiscal Year Annual Research Report
Vigna属遺伝資源の栽培化による環境適応性作物の開発
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23688002
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
内藤 健 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (20581705)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝資源 / 育種 / 遺伝 / Vigna属 / アズキ / 栽培化 / 環境ストレス |
Research Abstract |
本研究では環境適応性に非常に優れたVigna属野生種を栽培化し、ストレス環境適応性の新作物を作出することが目的である。そのために、栽培種が有する栽培化形質を支配する遺伝子を同定し、変異原処理をした野生種集団からTILLINGによって、その遺伝子の同祖遺伝子が破壊された系統を選抜するという戦略をとっている。 本研究で特に遺伝子の同定を目指している形質は、種子の大きさと裂莢性である。種子の大きさに関しては、ケツルアズキがもつ、一遺伝子の変異によって種子の大きさが2倍になるMOG遺伝子を同定した。また形質転換による機能性の再検定のために、MOG遺伝子の配列の一部を導入したウイルスベクターを作成した。また、ツルアズキが有する、種子サイズを40%増大させるQTLに関しても、詳細マッピングのためのBC3F2集団を構築した。 裂莢性に関してはアズキ×V. nepalensisのBC3F2集団1,100個体を用いた詳細マッピングを行い、候補遺伝子が座乗すると考えられる領域を約100kbほどまで絞り込んだ。 また栽培化を実施する野生種として、病害虫に強く栽培が容易なV. stipulaceaを取り上げ、EMS処理を施した約8,000系統のM1集団を作成・栽培し、3,000個体からM2種子を収穫した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MOG遺伝子の同定に至ったことは期待以上の成果となったが、ツルアズキの交雑集団は詳細マッピングを行うのに十分な数の種子を得ることができず、温室で植物体を維持して春から再び種子を収穫する必要があったため、予定より遅れることとなった。したがって、全体としては概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
MOG遺伝子については、ウイルスベクターを使った形質転換によって形質の再現性を評価する。ツルアズキの集団は今年度栽培し、種子の大きさの評価およびマーカーを使ったジェノタイピングを行う。 裂莢性については更なるマーカーの拡充を行い、候補領域を更に絞り込みつつ、原因遺伝子の同定を目指す。 V. stipulaceaのM2集団に関してはMOG遺伝子に関するTILLINGを行い、変異個体をスクリーニングする。選定された個体からはM3系統を展開し、形質を評価する。裂莢性についても、原因遺伝子が同定され次第、TILLINGによるスクリーニングを開始する。
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