2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規還元的脂肪酸代謝の探索と有用物質生産プロセスの開発
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23688011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸野 重信 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40432348)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 還元 / 脂肪酸 / 有機酸 / アルコール / 飽和化 / 微生物 |
Research Abstract |
現在幅広く研究が進んでいる微生物研究の脂肪酸代謝は、好気条件下での代謝であり酸化反応(不飽和化反応)が主である。それに対し、還元反応(飽和化反応)に関する知見はほとんどない。また、工業的有機合成で行われる還元反応では、高温・高圧を必要とするだけでなく、位置特異性や位置選択性がほとんどないことから、有機合成での位置選択的な還元反応は不可能である。そこで本研究では微生物を用いた様々な還元反応に着目し、新規還元的脂肪酸・有機酸代謝の探索を行った。 1)不飽和脂肪酸の還元的脂肪酸代謝について:分岐鎖不飽和有機酸を幾何選択的に還元(飽和化)する微生物を取得してるが、その無細胞抽出液を用いた反応では、還元活性を示さなかった。そこで平成24年度、本反応について詳細に検討した結果、本反応は基質のCoA体が関与していること、さらに二重結合の飽和にはFAD、NADH、NADPH、およびある遺伝子を発現した形質転換体の無細胞抽出液が共存した時に二重結合の飽和化が進行する事を明らかにした。 2)カルボキシル基をアルコールへと還元する活性について:ある鎖長の脂肪酸を対象にカルボキシル基をアルコールへと還元する株を1株選抜し、本株の無細胞抽出液は遊離体の脂肪酸をアルコールへと還元しないが、CoA誘導型脂肪酸をアルコールへと還元する事を見出した。 3)還元反応ライブラリーの構築:反芻動物であるウシのルーメン液を採取し、様々な微生物の単離を行った。単離していないルーメン液を用いて脂肪酸還元反応について予備検討を行ったところ、申請者が既に取得している反応とは異なる挙動を示した事から、新たな還元反応を取得できる可能性が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマでは、いくつかの脂肪酸有機酸還元反応について解析を行っており、それぞれの反応において、微生物のみならず、無細胞抽出液においても活性を見出している。さらに、反芻動物由来ルーメン液から、様々な嫌気性微生物の収集も手がけており、さらなる還元反応ライブラリーを構築できる環境にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマでは複数の還元反応について解析を行っている。既に取得している反応に関しては、更なる詳細な解析を行う。また、新たな探索源を取得した事から、さらなる還元反応ライブラリーの構築を試みる。
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