2011 Fiscal Year Annual Research Report
養殖魚における餌止め効果のメカニズム:なぜ、赤潮・魚病による斃死を軽減できるか?
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23688022
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
太田 耕平 愛媛大学, 南予水産研究センター, 准教授 (10585764)
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Keywords | 魚類生理 / 絶食効果 |
Research Abstract |
本研究課題では、魚類養殖現場で赤潮や魚病の発生時に行われている、餌止め(絶食)による生体防御効果(絶食効果)を科学的に証明する。初年度は、魚類養殖の代表種であるブリとマダイを用いて、水槽内で絶食試験を行い、各種生理変化の解析と絶食効果の持続期間の検討を行った。その結果、マダイはブリに比べ、比較的長期間の絶食に適応する傾向が見られ、体重減少も比較的遅く、軽度であったことから、絶食に対する個体の適応能は魚種によって大きく異なることが示唆された。一方で、各臓器の絶食に伴う重量変化を調べた結果、ブリとマダイ共に肝臓重量は絶食開始後,減少傾向を示したのに対し、脾臓重量は絶食後、一定期間維持されていた。また、血液中のグルコース量は速やかに減少したのに対し、各種アミノ酸量はそれぞれ、特異的な変動パターンを示した。一方、嫌気的代謝の指標として血液中のpHと乳酸量を測定した結果、絶食群と給餌群との間に明瞭な差は見られなかった。さらに、免疫に関わる効果を調べるため、白血球の貪食活性を調べた結果、マダイ、ブリ共に、絶食群と給餌群との間に有意な差は認められなかった。加えて、次年度に使用予定である、代表的な赤潮原因プランクトンや魚病病原体の定量的な測定系の確立を行った。今後、免疫関連遺伝子の発現を解析するとともに。赤潮原因プランクトンや病原体の暴露により、個体の生理状態がどのように変化するかを解析し、絶食効果を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ブリやマダイを用いて絶食試験を行い、それに伴う生理変化を解析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の魚病や赤潮の効果を調べるため、当初の計画通り、病原菌や赤潮有害プランクトンに対する暴露実験を行う。暴露後、各種生理的変化を解析することにより、魚病や赤潮に対する抵抗性を絶食群と給餌群の間で比較する。研究を円滑に進めるため、暴露試験用の水槽を設置する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Male differentiation of germ cells induced by embryonic-age-specific Sertoli cells in mice2012
Author(s)
Ohta, K., Yamamoto, M., Lin, Y., Hogg, N., Akiyama, H., Behringer, RR., Yamazaki, Y.
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Journal Title
Biology of Reproduction
Volume: 86
Pages: 1-11
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Molecular cloning of two gonadotropin receptors and their distinct mRNA expression profiles in daily oogenesis of the wrasse Pseudolabrus sieboldi2011
Author(s)
Kitano, H., Me, S., Ohta, K., Hirai, T., Yamaguchi, A., Matsuyama, M.
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Journal Title
General and Comparative Endocrinology
Volume: 172
Pages: 268-276
DOI
Peer Reviewed
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