2013 Fiscal Year Annual Research Report
ファーム・ファミリー・ビジネス論による新たな農業経営学の構築―臨界点に着目して―
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23688026
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
内山 智裕 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80378322)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 農業経営 / 家族経営 / 企業経営 / 女性農業者 / 農業普及 / 経営発展 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,家族農業経営の国際的な動向について整理分析を行った。また,家族農業経営の存続・発展にとって不可欠な支援体制として先進各国の普及システムに関する情報収集・分析を実施した。これらの知見は以下の通りまとめることができる。 第一に,家族農業経営の国際的な動向については,欧米では「家族らしさ」を持った農業経営の競争力強化を現実的な課題としている。もちろん,家族経営といえども,その内実は時代と共に変容しており,農業経営をめぐる様々な外的・内的要因に変化により,今後も変化を続けるものと思われる。それでもなお,先進諸国においても家族経営が農業における主たるビジネスモデルである。一方,農業経営における女性の活躍は,家族経営か非家族経営かという枠組み以上に農業経営発展に有効な視点となりうる。農業経営の企業化なくして日本の農業の発展はないという言い方がされるが,女性の活躍なくして日本の農業の発展はないこともまた重要な論点である。近年の農業経営学が非家族の農業経営や農業経営の企業化に傾斜する中,女性農業者論は,家族経営論と同様,あるいはそれ以上に考察が深められるべき領域である。 第二に,先進各国の普及システムについては,先進国では普及サービスの縮小・民営化が進んでいるが,我が国においても基本的な方向性は同じと考えざるを得ない。一方,農業経営の取りうる戦略も,大規模化の他,六次化を伴うローカル化など多様性を増している。各経営体においても主体性が求められると同時に,それでもなお必要となる支援を公的普及組織がいかに担えるかが重要となることを示した。地域の特性に応じた普及体制の多様化・分化,「農家同士」の普及の試みなどは,我が国においても展望されるべき形である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我が国のみならず,英国・米国・カナダにおける現地調査,文献整理などを引き続き進めている。その公刊が遅れているが,翌年度以降,順次公刊される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度は最終年度に当たるため,これまでに得られた知見の取りまとめ作業を中心に行う。その成果は,論文というよりも書籍などの形で,とりまとめたいと考えている。
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