2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛の栄養状態と潜在性疾病を検知する代謝性ホルモン感受性マーカーの探索
Project/Area Number |
23688033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉野 利久 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教 (90363035)
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Keywords | 代謝性ホルモン / 乳牛 / 感受性マーカー / グレリン / GLP-1 / メタボロミクス |
Research Abstract |
高泌乳化の進む乳牛で,泌乳初期に過大な負のエネルギーバランスとそれに伴う栄養代謝障害が多発している。これらの問題を解決するには,乳牛の栄養状態や潜在性疾病を的確に把握し,周産期の新たな飼養管理法の開発が必要となる。本研究では,周産期ホメオレシスの代謝調節に重要なインスリン・GH,および末梢性食欲調節因子であるGLP-1・グレリンに焦点を絞り血中メタボロミクス解析を行い,栄養代謝調節因子である代謝性ホルモンの感受性をバイオマーカーで検知することによって,乳牛の栄養状態や潜在性疾病を的確かつ簡易的に把握することを目的とする。本年度は,代謝性ホルモンの感受性マーカーの探索に必要となる乳牛の栄養状態と血漿代謝産物との関係,および周産期での網羅的な血漿代謝産物の変動解析を実施した。試験には,305日乳量が10,000kgを超える乳牛を用い,乾乳期間を60日とし,前期(40日)と後期(20日)に分けて,乾乳前期の栄養水準を要求量に基づき130%区(高栄養区)および80%区(低栄養区)の2処理区を設け,各処理区は3頭になるように供試牛を配置した。乾乳後期は全ての処理区において要求量の100%とした。採血は,乾乳前期最終日およ'び分娩後1週目,10週目に実施した。血漿中メタボローム解析はキャピラリー電気泳動一飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いて実施した。この結果154のピークが検出され,これらピークをHMT代謝物質データベース(HTMDB)と照合し代謝物質を特定した。これら154物質の相対面積値を標準化し,それに基づきクラスター解析を実施,周産期で変動しているクラスターを選抜した。それにより91の代謝物質を選抜した。選抜後,主成分解析を行った結果,第1主成分得点の寄与率は52.5%,第2主成分得点は寄与率23%であった。因子負荷量から,周産期の代謝変動および栄養状態を反映するバイオマーカーを35物質選抜した。選抜された物質の多くは,メチル基転移代謝に関連した物質であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
追加採択のため12月より試験を開始したが,外注等により分析を迅速に実施し,おおむね必要なサンプリングおよび分析は3月を目処に終了している。しかし,データの解析は3月より開始したために途中の段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のサシプリングおよび分析は終了している。今後は,本年度のデータの解析を行い,当初の目的にあるホルモン感作試験等を実施していく。また,サンプルの分析は,本年度と同様に外注等を利用して推進していく予定である。
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