2011 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍関連マクロファージ指向DDSの開発と癌に対する新しい薬物治療戦略
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23689003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 講師 (20322307)
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Keywords | 糖修飾リポソーム / ドラッグデリバリーシステム / ターゲティング / バブルリポソーム / 核酸医薬品 / 癌治療 / マクロファージ / 超音波 |
Research Abstract |
本研究の目的は、癌微小環境における腫瘍関連マクロファージを標的としたDDS開発とその癌治療への展開である。本年度は、腫瘍関連マクロファージに発現するマンノースレセプターによって認識され、超音波照射後に発生するキャビテーションエネルギーにより発生する一過性の小孔を介して、細胞内に核酸・遺伝子導入を可能とするマンノース修飾バブルリポソーム製剤について、siRNA送達及びプラスミドDNA送達特性、高密度焦点式超音波照射に関する評価を行った。ルシフェラーゼに対するsiRNAを用いて作製した超音波応答性マンノース修飾バブルリポプレックスへの超音波照射併用により、マクロファージのエンドソームではなく、細胞質内へ高効率に送達され、高い遺伝子発現抑制効果を示していることが示された。一方、off target効果の原因となるI型インターフェロの産生は、カチオン性リポソーム試薬であるLipofect Amineを用いて導入した場合と比べ、顕著に低い値であり、安全に使用できることが示された。この低い免疫反応性は、toll like receptor7,8が発現するエンドソームを介さず細胞質内に直接siRNAを導入しているためであると推察される。バブルリポソームの臨床応用に向けた製剤処方に関して、生体適合性添加物のみで調製された新規バブルリポソーム/高分子複合体の調製を試み、従来の研究室で開発しているバブルリポソームと同様の物理化学的性質を有しており、超音波照射の有無によりマウス肝臓での遺伝子発現制御が可能な製剤であることを確認した。さらに、マウス大腸がん細胞であるcolon26細胞を移植したマウスに高密度焦点式超音波照射をおこなったところ、固形腫瘍の増殖抑制効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体適合性のDDS製剤処方に成功したことは当初の計画以上である。一方、計画していたGM-CSFの遺伝子導入に関しては、計画の遅れを生じた。以上、総合的におおむね順調に進展したものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、生体適合性の材料でバブル製剤を調製できたので、マンノース修飾を行う。これにより、臨床適用可能な製剤としても開発することができると考えている。その他、実験計画の変更は無い。
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