2012 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍関連マクロファージ指向DDSの開発と癌に対する新しい薬物治療戦略
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23689003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 茂 京都大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (20322307)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖修飾リポソーム / ドラッグデリバリーシステム / ターゲティング / バブルリポソーム / 核酸医薬品 / 癌治療 / マクロファージ / 超音波 |
Research Abstract |
本研究の目的は、癌微小環境における腫瘍関連マクロファージ (TAM) を標的としたDDS開発とその癌治療への展開である。2年目となる本年度は、TAMへの高効率なオリゴ核酸導入に基づくTAM機能の制御化による癌治療戦略の構築と医療応用を目指したアニオン性の新規バブル製剤であるリポポリプレックスの開発を行った。TAMへの核酸・遺伝子導入に関して、マンノース修飾バブルリポソームと超音波照射の併用によりNF-kappaB decoyをTAMに導入することで、マウス皮下に移植した腫瘍組織中のTh2型サイトカイン濃度が減少すると共にTh1型サイトカイン濃度が増大した。さらに、NF-kappaB decoy導入後TAMを分離し、産生されるサイトカインを評価したところ、同様の変化が認められた。以上、超音波照射とマンノース修飾バブルリポソームを用いて、高効率にTAMへNF-kappaB decoy導入を行うことで、TAMのphenotype変化が認められる可能性が示された。また、昨年度まではカチオン性を示すバブル製剤を用いていたが、本研究成果の医療応用を目指した新規バブル製剤として、核酸、カチオン性高分子、超音波造影ガス内包アニオン性リポソームを静電的相互作用を利用して混合し、新たにアニオン性を示す超音波応答性リポポリプレックスの調製法の構築と最適化を行った。マウスへリポポリプレックスを静脈内投与後に超音波照射を行ったところ、超音波照射した臓器において高い遺伝子発現を示し、これは従来のカチオン性製剤とほぼ同じレベルでの遺伝子発現であった。一方、新規バブル製剤はアニオン性であるため、従来のカチオン性製剤でみられる赤血球との相互作用による凝集は示さなかった。以上、アニオン性を示し、安全な遺伝子導入が可能となるリポポリプレックスの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな問題は現在のところない。 本年度、赤血球との相互作用を示さず、従来の超音波応答性カチオン性バブル製剤とほぼ同レベルの遺伝子導入能を発揮できるアニオン性の超音波応答性バブルリポポリプレックスの調製法の開発に成功した。本研究成果の医療応用を考慮に入れ、安全性の高いバブルリポポリプレックス製剤を基本とし、既に確立している手法で糖修飾を行い、本研究を実施していきたい考えている。 その他の点については、実験計画に従って研究を遂行する。
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