2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガイダンスシグナルにおいて普遍的に駆動される情報伝達機構の解明
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23689005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生沼 泉 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40452297)
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Keywords | 軸索ガイダンス / 低分子量G蛋白質 / R-Ras / インテグリン |
Research Abstract |
低分子量G蛋白質R-Rasは神経系に限らず、幅広い組織で発現している。また、反発性ガイダンス因子semaphorin (Sema)は元来、発達期の神経系においての反発因子として働く因子として単離されたが、近年の報告で、Semaが神経系以外を含めた幅広い細胞種で細胞接着や細胞運動を制御していることが相次いでわかってきた。R-Rasは細胞接着刺激により細胞内で活性化され、さらに逆にこの活性化されたR-Rasが細胞内から細胞接着因子受容体、インテグーリンを物理的に活性化構造にし、細胞外マトリックスへの親和性を上昇させることで、細胞接着におけるポジティブフィードバックループの一点を担う。一方、反発性ガイダンス因子はR-Rasを不活性化し、このループの1点を抑制することで、インテグリンの活性を抑制し、神経軸索の伸長を抑制する。最も基本的で普遍的な細胞機能の1つである細胞接着においてR-Rasを介した増幅機構が存在すると考えられるが、その分子機構は全く不明である。そこで、本年度はまず、個々の分子要素の同定を試みた。我々はこれまでに、R-Rasは細胞外マトリックスへの接着刺激により細胞内で活性化され、さらに逆にこの活性化されたR-Rasが、細胞内から(inside-outに)細胞接着因子受容体、インテグリンを物理的に活性化分子構造にし、細胞外マトリックスへの親和性を上昇されることで、細胞接着におけるポジティブフィードバックループを担うことを明らかにした。さらに、R-Rasがどのような分子機構でインテグリンの活性化を引き起こすのかを検討するために、R-Rasの下流でインテグリンを活性化するR-Rasに特異的なエフェクター分子を同定するため、活性型R-Rasに結合する分子を酵母のtwo-hybrid法を用いてスクリーニングし、現在、候補分子との機能連関を検証していっている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究費予算が秋の繰り上げ採用だったため、今年度下半期での研究となったが、必要な設備機器のセットアップや実験系の導入が順調に進み、当初の計画通り、今年度の計画予定であった、R-Rasの下流分子の分子の探索を完了できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、来年度以降には、今年度のスクリーニングで得られたおのおのの分子について、R-Rasファミリー低分子量G蛋白質との機能的連関を検討していく。
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Research Products
(6 results)