2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内Clダイナミクスタンパクをターゲットとした新規細胞機能制御法の開発
Project/Area Number |
23689011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 綾子 京都大学, 医学研究科, 助教 (00378704)
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Keywords | Clダイナミクス / Caダイナミクス / 細胞内小器官 |
Research Abstract |
「細胞内Cl-Caダイナミクス連関」を明らかにするために、まず細胞内小器官を介したCaダイナミクスに関する基本動作原理を得た。すなわち、細胞内Ca制御機構が異なる興奮性細胞(株化培養心筋細胞HL-1)・非興奮性細胞(DT40Bリンパ球細胞、A20Bリンパ球細胞)において、新規ミトコンドリアNa-Ca交換輸送体NCLXをノックアウトあるいはノックダウンすると、いずれの細胞においても著明なミトコンドリアCa排出の抑制、小胞体Ca含量減少がおこった。その結果、リンパ球細胞においては抗IgM、IgG抗体による細胞膜抗原受容体刺激で誘発される小胞体Ca放出の抑制、心筋細胞においては自発興奮の周期の延長が惹起された。リンパ球細胞については数理モデルによる論理的解析が完了し、今年度この成果を論文発表した(Kim et al.Physiol.20l2 ; 590 : 459.74)。心筋細胞については数理モデルを構築中であり、完成次第論文発表する予定である。 2種類の異なる蛍光ClセンサータンパクについてBregestovski教授(Insem)、Augustine教授(KIST)より供与を受けた。これらのタンパクを種々のリンパ球細胞、株価培養心筋細胞HL-1に発現させ、細胞質Cl濃度の測定システムを完成させた。現在、細胞内ClダイナミクスとCaダイナミクスとの相関解析を進めている。 細胞内Cl輸送タンパクの候補であるCLICファミリーについて、Ramos B細胞、Jurkat T細胞を用いてリアルタイムPCRにて発現解析を行った。その結果、いずれの細胞においてもCLIC1,4の発現が多く、CLIC2,6はその1/10以下であった。CLCI5については発現が認められなかった。興奮性細胞については現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は種々の細胞において細胞内小器官を介したCaダイナミクスの基本動作原理を得るとともに、細胞内Cl濃度の測定システムを完成させることができた。興奮性細胞の解析が多少遅れているが、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
興奮性細胞を用いた解析がやや遅れているが、リンパ球細胞で用いた手法を転用できるため、次年度の初めには完了することができると考える。現時点では研究計画の変更はしない。
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