2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内Clダイナミクスタンパクをターゲットとした新規細胞機能制御法の開発
Project/Area Number |
23689011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 綾子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00378704)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | Clダイナミクス / Caダイナミクス / 細胞内小器官 |
Research Abstract |
「細胞内Cl-Caダイナミクス連関」を明らかにするために、平成24年度は興奮性細胞として株化培養心筋細胞HL-1を、非興奮性細胞としてA20 Bリンパ球細胞を用いて、以下の成果を得た。 自動能を有するHL-1細胞を用いて細胞内小器官Ca動態の基本動作原理を得た。すなわち、ミトコンドリアNa-Ca輸送担体(NCLX)をノックダウンすると、著しい拍動リズムの遅延が認められた。細胞生物学実験並びに数理モデル解析から、NCLXは筋小胞体Ca動態を調節することで「Caクロック」機序を修飾することが明らかになった。この成果は現在論文投稿中である。 蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence resonance energy transfer:FRET)を利用したClセンサー(clomeleon; Korea Institute of Science and Technology、George J. Augustine教授から供与を受けた)を用いて、細胞内Cl動態の基本動作原理を得た。種々のClチャネルブロッカーがHL-1細胞、A20 Bリンパ球細胞のCl濃度の増大を惹起すること、その変化の程度にはブロッカーの細胞膜透過性が関与することが明らかとなった。また、これらの細胞内Cl濃度変化には、細胞内Ca動態が関与することが示された。 細胞内Cl濃度変化に対する細胞内小器官の関与が示唆されたため、clomeleonにミトコンドリア標的シグナルシークエンスを付加し、ミトコンドリアClセンサー(clomeleon-mito)を作製した。これを用いてミトコンドリア内Cl濃度の測定を進めている。また、小胞体を標的とした小胞体Clセンサーを作製中である。 細胞内Cl輸送タンパクの候補のうち、CLIC1, 4, CLCN4がHL-1とA20に共通して発現することを確認し、現在機能解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、HL-1細胞、A20 B細胞を用いて細胞内Cl-Caダイナミクスの基本動作原理を得ることができた。また、ミトコンドリアをターゲットとしたClセンサーを作製した。成果の学会発表、論文準備ともに十分に行うことができたため、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
小胞体Clセンサーの作製が多少遅れているが、次年度の初めには完了することができると考える。現時点では研究計画の変更はしない。
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Research Products
(13 results)