2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラス鎖RNAウイルスのゲノム複製小胞形成機構の解明
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23689028
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
森 嘉生 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 室長 (40379095)
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Keywords | ウイルス / ゲノム複製 / 形質膜 |
Research Abstract |
本年度はブラス鎖RNAウイルスの一つである風疹ウイルスのゲノム複製小胞が細胞内のどのオルガネラ膜で形成されるかを検討した。ゲノム複製に関わるウイルス蛋白質に対しては、これまで抗体が作製されておらず、蛍光抗体法等を用いて細胞内局在を検討することが出来なかったため、抗体の作製および、ウィルス蛋白質内に蛍光蛋白質を導入した組換えウイルス(第二種使用等実験承認済み)の作製を行った。これらを用いて検討を行ったところ、風疹ウイルスのゲノム複製に関わる蛋白質および二本鎖RNAは主に形質膜に存在することから、ゲノム複製小胞は形質膜に形成されることが示唆された。形質膜でも特にゲノム複製が行われている領域は、フィロボディア様の突起が多く認められ、この突起上にもゲノム複製複合体が多く認められる。これは、この領域で細胞のアクチン再構成が起きていて、ゲノム複製小胞形成に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。今後は、アクチンの再構成とゲノム複製小胞形成に関連があるかを検討する。また、ゲノム複製小胞を形成するためには、あるウイルス蛋白質が形質膜に集局し、他のウイルス蛋白質および宿主蛋白質をリクルートするための足場になる必要があると考えられる。風疹ウイルスp150の一部分を単独で発現させると形質膜に局在することから、この蛋白質が足場となる可能性があることが示唆された。そこで、このウイルス蛋白質にエピトープタグを挿入したウイルスおよびサブジェノミックレプリコンを作製した。今後はこれを用いて、実験計画の通り、ゲノム複製小胞を形成するのに必要な宿主蛋白質の同定を行う。 また、別のプラス鎖RMAウイルスである日本脳炎ウイルスのゲノム複製に関わる宿主因子を同定し、その機能について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はゲノム複製複合体と相互作用する宿主蛋白質および脂質成分の同定を行う予定であったが、それを行うための組換えウイルスおよびサブジェノミックレプリコンの作製に時間がかかり、開始できていない。しかしながら、風疹ウイルスのゲノム複製が細胞のどのオルガネラ膜で行われているかの詳細な検討を行う事が出来たことから、十分な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は組換え風疹ウイルスおよびサブジェノミックレプリコンを用いて、ゲノム複製複合体と相互作用する宿主蛋白質および脂質成分の同定を行う。また、アクチンの再構成とゲノム複製に何らかの関係が示唆されたため、阻害剤やsiRNAを用いて関連性を明らかにし、さらにどのようなメカニズムで関与しているかを明らかにする。
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Research Products
(8 results)