2011 Fiscal Year Annual Research Report
臨床検査への応用を目的としたオートファジー活性測定法の開発
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23689032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神吉 智丈 九州大学, 大学病院, 助教 (50398088)
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Keywords | オートファジー / 臨床検査 |
Research Abstract |
オートファジーは細胞内の分解機構であり、医学的には細胞内に蓄積した不要物質を捕まえて、分解することにより細胞の恒常性をいじする「細胞内の掃除システム」としての働きがあると考えられている。オートファジーの活性は、加齢に伴い低下し、また肥満、高血糖などでも低下することが明らかになってきた。このようにオートファジーの活性が低下すると、細胞内に不要物が蓄積し、細胞機能が低下することで、老化の促進やメタボリックシンドロームを加速させる原因になりうる。このため、医療の場において、患者個人が持つオートファジー活性は、患者の治療方針の決定や予後の予測に有用であると考えられるが、これまでにオートファジー活性を測定する臨床検査法は開発されていない。本研究課題では、オートファジー活性を測定する検査法を開発する予備研究として培養細胞レベルでのオートファジー活性測定法の開発を行うことを目的とする。 HeLa細胞、A549細胞、SH-SY5Y細胞など種々の培養細胞にpH依存的に励起波長が変化する蛍光タンパク質Keimaを発現させた細胞を作成した。Keimaは、周囲の環境が細胞質のような中性では440nmで、オートリソソーム内のように酸性では590nmで励起される。それぞれの細胞を用いて、アミノ酸飢餓、ラパマイシンによる刺激でオートファジーを誘導した場合に、いずれも、最初の数時間は時間依存的に、ラパマイシンの場合はさらに濃度依存的にKeimaのリソソームへの取り込み、即ち590nmで励起されるドッドが観察された。このことから、Keimaを用いたオートファジーの観察法はある程度定量性があることが確認できた。同様に、Keimaにミトコンドリア移行シグナルを付けたmt-Keimaを発現させてオートファジーによるミトコンドリア分解(マイトファジー)を観察した所、こちらも飢餓時間依存的にマイトファジーが誘導されることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、予定していた最も重要な部分である、Keimaを用いたオートファジーの想定法に定量性があることの確認に成功している。このことは、細胞の種類やオートファジーの誘導法を変えての普遍である。また、電子顕微鏡でもオートファジーを観察しており、測定法の信用を高めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、レンチウイルスを用いてマウスの諸臓器から採取した初代培養細胞にKeimaを発現させ、初代培養レベルでのオートファジーを観察し、さらに細胞を採取するマウスの加齢に伴い、Keimaを用いて観察できるオートファジーの量が低下していくかどうかを観察する。また、高カロリー食による肥満モデルマウスの諸臓器の初代培養細胞でも、正常マウスと比べてどの程度オートファジーの活性が低下しているかを観察していく。
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