2011 Fiscal Year Annual Research Report
筋・筋膜における非活動性侵害受容器の役割とその活性化機構に関する研究
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23689033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田口 徹 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (90464156)
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Keywords | 痛覚過敏 / 侵害受容器 / 筋・筋膜性疼痛 / モーダルシフト / 末梢神経 / 痛み / 感覚受容器 / 単一神経記録 |
Research Abstract |
本年度は特に、筋膜の侵害受容に関する研究で進捗があった。具体的には、(1)胸腰筋膜に受容野をもつ脊髄後角ニューロンを同定し、その病態時における入力様式の変化を明らかにした。(2)下腿筋膜にCGRPやPeripherin陽性の侵害受容線維が分布し、痛み刺激に応じる細径線維受容器が存在することを明らかにした。これらの成果は、筋膜が正常時の侵害受容を担い、病態時の痛覚過敏にも重要であることを示唆しており、これまで骨格筋を包む単なる支持組織としてしか捉えられていなかった、いわば忘れ去られた組織である筋膜に、侵害受容センサーとしての新たな基礎医学的役割を付与するものである。 また、非活動性侵害受容器に関する研究では、下腿深部組織から入力を受けるC線維のうち約2割が機械感受性をもたず、繰り返し電気刺激に対して大きな活動依存的伝導速度遅延(ADCCV)を示したことから、これらは非活動性侵害受容器であることが示唆された。さらに、筋・筋膜炎を模した実験的病態モデルでは、対照群に比べて、C線維のADCCVが有意に小さかった。このことは、痛覚過敏をともなう病態時において、受容器終末の痛み刺激に対する応答が亢進するだけでなく、活動電位を伝達する軸索部分の伝導性も亢進していることを示している。これらの結果を踏まえ、平成24年度は主として、筋・筋膜の非活動性侵害受容器の活性化機構(因子)の解明を目的に研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第4回(平成23年11月中旬)に交付内定があったにも関わらず、年度初頭から研究を開始できたため、おおむね順調に成果が出ている。これまでにいくつかの学会発表や本の執筆も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の進展にともない、非活動性侵害受容器の活性化機構(因子)を細胞レベルで調べる必要性が生じ、年度後半にそのための実験セットアップを導入した。本年度は当面、この実験系が上手く働くかどうかをまずチェックし、早急に軌道に乗せる予定である。
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Research Products
(10 results)