2012 Fiscal Year Annual Research Report
老化および糖尿病発症におけるC1q誘導性Wntシグナルの果たす役割の解明
Project/Area Number |
23689038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 篤彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10588891)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | C1q / Wnt / 老化 / 再生能低下 / 糖尿病 / 心不全 |
Research Abstract |
平成24年度にはC1qによるWntシグナル活性化機構およびC1q誘導性Wntシグナル活性化が骨格筋の再生能低下という老化の表現型に重要な役割を果たしていることをCell誌に報告した。また、骨格筋再生能低下以外にも加齢に伴って発症率が上昇する疾患(老化関連疾患)においてC1qおよびWntシグナル活性化が果たす役割の解析を進めた。 大動脈縮窄術圧負荷を加えることで心不全を誘導するマウスでは心臓におけるC1q, C1r, C1sの各遺伝子およびWisp1, Wisp2. Nkd1, Nkd2といったWntシグナルの標的遺伝子が著明に増加していた。C1qノックアウトマウスにも同様の手術を行ったところ、心肥大から心不全への進行が抑制されており、線維化を促進する各種遺伝子の発現上昇が抑制されていたことから、C1qが心不全発症・進行の段階で起こる線維化を促進している可能性が示された。 C1qノックアウトマウスおよびC3ノックアウトマウスを中枢系メラノコルチンシステム系の変異により肥満と耐糖能低下の表現型を示すAyマウス(C57BL/6バックグラウンド)と交配した結果得られるマウスと交配し、耐糖能異常の表現型を確認したところC1qノックアウトマウスのみで耐糖能異常の出現が遅延しており、C1qノックアウトマウスで認められた表現型が古典的補体経路ではなく、C1q誘導性Wntシグナル活性化阻害によるものであることが予想された。ところが、さらに長期間高ショ糖食負荷を加えたところ、全ての遺伝型マウスで血糖値は正常化した。C57BL/6マウスでは高血糖持続状態に対する膵島の代償反応が強く起こるためと考えている。 C1qコンディショナルノックアウトマウスとタモキシフェン誘導性に全身でCre/LoxP反応を引き起すことが可能なRosa-CreERTマウスを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
加齢により老化の表現型の一つである骨格筋再生能低下がおこるメカニズムにC1q誘導性Wntシグナル活性化が関与していることを解明し、発表した。また加齢に伴って発症率が増加する疾患である心不全や糖尿病といった病態にC1qおよびWntシグナル活性化が関与していることが明らかとなった。これらのメカニズムが明らかになったことから、Wntシグナル活性化あるいはC1q誘導性Wntシグナル活性化を阻害する化合物の投与実験を開始する体制が整備された。
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Strategy for Future Research Activity |
計画当初では老化における幹細胞、糖尿病における脂肪組織に対してC1q誘導性Wntシグナルがどのような意義を果たしているか検討予定であったが、老化については線維化、糖尿病については脂肪組織以外(経口グルコース負荷テストの結果からは肝臓が最も疑わしい)でC1qが重要な役割を果たしている可能性が示唆される。 現時点では心不全および糖尿病発症におけるC1qおよびWntシグナルの役割を解析しているが、さらに高血圧に伴う動脈硬化発症におけるC1qおよびWntシグナルの役割を解析する予定である。 また、将来的な臨床へのフィードバックを考え、新規Wntシグナル抑制薬を用いて、上記老化関連疾患の発症および進行が抑制されるかを検討する予定である。
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Research Products
(10 results)