2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性慢性肝炎モデルのための免疫機能を保持したヒト肝細胞キメラマウスの作成
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23689040
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
紙谷 聡英 東海大学, 創造科学技術研究機構, 特任准教授 (30321904)
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Keywords | 肝細胞生物学 / 肝幹・前駆細胞 / 肝炎ウイルス |
Research Abstract |
肝炎ウイルスの持続感染に伴う慢性肝炎は、肝硬変・肝癌の原因となる。ヒト肝炎ウイルスは種特異性を持ち、実験動物を用いた解析が困難であった。そこで、新規病態解析モデル系構築のため以下の研究を行う。 1.ヒトiPS細胞からの肝幹・前駆細胞の純化・培養系の構築 申請者らは当研究室で樹立したヒトiPS細胞を、定法に従い複数のサイトカインで連続的に刺激して、HNF4α,α-フェトプロテイン陽性の肝細胞様細胞を誘導した。この細胞を、肝幹細胞の表面抗原マーカーであるCD13およびCD133の特異的抗体を用いて染色・解析した結果、サイトカイン刺激依存的にCD13、CD133両陽性の細胞が出現した。CD13+CD133+細胞をフローサイトメトリーを用いて分離しフィーダー細胞上で低密度培養を行ったところ、細胞1個から増殖した大型のコロニーが多数得られることが分かった。このコロニーは、HNF4α,α-フェトプロテイン陽性でトリプシン等の処理により継代培養が可能であり、約1月にわたり持続的に増殖できる。この細胞をスフェロイド形成による3次元培養を行うことで、CYP3A4やCYP7A1といった成熟肝細胞機能遺伝子の発現誘導が見られた。以上の結果から、ヒトiPS細胞からCD13およびCD133両陽性の肝幹・前駆細胞様細胞を純化・培養できたと考えられる。今後、この細胞をマウスに移植することで、生体内で生着・増殖が可能か検討する。 2.肝障害誘導マウス胎仔を用いた、生体由来肝幹・前駆細胞の移植系の構築 マウス胎仔・新生仔肝臓への細胞移植の条件検討のために、GFPマウス胎仔より分離したCD13,CD133陽性細胞の移植実験を行った。新生仔マウスの肝臓または系静脈的に実体顕微鏡下で細胞移植を行った。移植後、1週間から1カ月での細胞の動態を観察した結果、肺への異所的な生着が見られる一方で一部の細胞は肝臓への生着が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞からの肝幹・前駆細胞の分化および増殖誘導系に関しては、我々が独自に構築したフィーダー細胞を用いる新規培養系によって、ほぼ達成されつつある。 マウス胎仔・新生仔への移植に関しては、移植に用いる遺伝子改変マウスの準備等を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が誘導したヒトiPS細胞由来肝幹・前駆細胞等が生体での生着能や分化能を持つか確認するために、免疫不全マウスへの移植実験を予定している。また、肝幹・前駆細胞の増殖や試験管内での未分化性め維持に必要な分子メカニズムの解明を行う。 マウス胎仔・新生仔への移植に関しては、現在Fumarylacetoacetate hydrolase(EAH)欠損マウスやiDTRトランスジェニックマウスなどの、肝障害を誘導可能なモデルマウスの肝臓への移植実験を予定している。胎仔または新生仔への移植後に肝障害を誘導することで、どの時期への移植がキメラマウスに有用か検討を予定している,
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Cholestatic liver fibrosis and toxin-induced fibrosis are exacer bated in matrix metalloproteinase-2 deficient mice2011
Author(s)
Onozuka I, Kakinuma S, Kamiya A, Miyoshi M, Sakamoto N, Kiyohashi K, Watanabe T, Funaoka Y, Ueyama M, Nakagawa M, Koshikawa N, Seiki M, Nakauchi H
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 406
Pages: 134-140
DOI
Peer Reviewed
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