2012 Fiscal Year Annual Research Report
初期化過程で出現する心筋前駆様細胞と光イメージングを用いた新規心臓再生療法の確立
Project/Area Number |
23689041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川村 晃久 京都大学, 生命科学系キャリアパス形成ユニット, 助教 (90393199)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医学 / 幹細胞生物学 / 体細胞初期化 |
Research Abstract |
重症心不全の予後は極めて悪く、喪失した心筋細胞を補う心臓再生療法の実現化は急務である。人工多能性幹(iPS)細胞は、患者由来心筋細胞のソースとして期待される一方、低分化効率や移植後腫瘍形成など重要な課題も残されている。課題克服に向けて、申請者は、iPS細胞形成(=初期化)に関わる分子機構の解析をすすめ、最近、iPS細胞誘導過程で生じる多様な非初期化細胞集団の中から、移植後腫瘍形成が低く多数の心筋細胞が誘導される新規の集団を同定した。本研究では、この細胞集団の特性解析を通じて誘導条件を改良し、未分化iPS細胞を樹立せずに十分量の安全な心筋細胞を効率的かつ俊敏に作成することを目標にする。さらに、その効果と安全性の確認のため、光イメージング技術を利用して心臓内移植細胞の挙動を生体で時空間的に追跡し、次世代心臓再生療法の基盤構築を目指す。そこで、下記の3つのテーマに従って研究を施行した。 テーマ1 体細胞初期化過程で出現する心筋細胞誘導候補となる細胞群の特性解析 テーマ2 候補細胞群からiPS細胞樹立を介さない安全かつ効率的な心筋細胞の大量作成 テーマ3 誘導した心筋細胞の移植効果および光イメージングによる生体細胞追跡 テーマ1に関しては、前年度同定した重要な遺伝子群に関して機能解析を行った。テーマ2に関しては、免疫不全マウスへの移植実験などにより、腫瘍発症リスクをさらに軽減する誘導・選別法の改良のための研究を行った。テーマ3では、光イメージングを用いて移植片の増殖を宿主の生体で経時的に解析することにより、心筋細胞の誘導・選別法の最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度同定した、心筋誘導に重要な遺伝子群(テーマ1)に関しその機能を解析し、候補細胞群の免疫不全マウスへの移植実験により奇形腫の発症率を評価することで、より安全性の高い誘導法の開発を行っている(テーマ2)。さらに、光イメージングにより細胞の増殖を生体で経時的に解析できる実験系を確立し、これを用いて、安全かつ効率的な心筋細胞誘導法の評価系が確立できた。以上のように、現在までの研究遂行状況は目標達成に向けほぼ順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請計画に掲げた3つのテーマに従って予定通り研究を遂行する。申請者が同定した特定の細胞集団(A+ B+ 細胞)に関して、初期化誘導過程で如何に心筋前駆細胞様の集団が出現するか、その分子機構をより詳細に解析し、新規の心筋前駆細胞マーカーや誘導因子候補の同定を継続する(テーマ1)。 候補細胞群からiPS細胞樹立を介さずに、より効率的かつ安全に心筋細胞を誘導するための培養条件の最適化を継続する(テーマ2)。 ホタル発光酵素であるルシフェラーゼや赤色蛍光蛋白質を利用した生体リアルタイムイメージングが確立され、移植細胞の運命を同一個体で時空間的に追跡することが可能となった。この実験系を用いて、A+ B+ 細胞集団から誘導した心筋細胞を用いた心臓再生療法の有用性と安全性を明らかにする(テーマ3)。
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Research Products
(6 results)