2011 Fiscal Year Annual Research Report
気道上皮細胞の分化プログラムと数量的バランス制御の解明
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23689044
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
森本 充 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (70544344)
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Keywords | 呼吸器 / Notchシグナル / 発生 |
Research Abstract |
本研究では、呼吸器の発生・再生の基本原理を解明するため、気道上皮組織における線毛細胞、クララ細胞、神経内分泌細胞(NEC)の分化プログラム、数量的バランス制御機構の解明を行なっている。特に近距離細胞間の情報伝達経路であるNotchシグナルの役割に注目し、各気道領域によって異なる数量的バランスで特殊化細胞が出現し、維持されるメカニズムの解明を試みている。 昨年度までの研究により、発生中の気道上皮においてNotch2が線毛細胞分化を抑制してクララ細胞分化を誘導すること、さらにNotch1,2,3が共役してNECクラスターのサイズを制御していることをマウス個体で明らかにした。また胎児期のNECを被っている新規のSSEA-1陽性のSPNC細胞を発見し、この細胞種がNECクラスターのサイズ制御に機能する可能性を見いだした(論文投稿中)。本年度は、SPNC細胞の細胞系譜追跡と、この細胞の選択的な除去の両方ができる遺伝子改変マウスの作出を試みた。しかし、利用する事を計画していた遺伝子FUT7がSPNC細胞以外にも発現してしまい、効率的にSPNC細胞をターゲットする事ができなかった。研究協力者からの私信により別の遺伝子UPK3aがSPNC細胞だけで発現している事を知り、自らの手で確認をした。そこでUPK3aの発現制御配列を用いて目的の遺伝子改変マウスを作出する事にした。現在も作出過程にある。 一方、気道上皮細胞の初代培養系を使った線毛細胞分化誘導系を利用して、線毛細胞の分化プログラムの解明に取り組んだ。理化学研究所オミックス領域の協力のもと、線毛細胞の分化過程を次世代シークエンサーを用いて時系列的にトランスクリプトーム解析した。解析は順調だが、次世代シークエンサーから得られたデータは膨大であり、現在も理化学研究所オミックス領域の研究協力により少しずつ解析されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で掲げた以下の4つの目的を達成するために、申請者は多くの実験を実行した。 1)神経内分泌細胞ーSSEA-1+(SPNC)細胞間のNotchシグナルを介した相互作用と、それによる両細胞の数量的バランス制御機構をマウス個体で解明する。 2)SSEA-1+(SPNC)細胞が新規の上皮前駆細胞を含むか否かをマウス個体で検証する。 3)線毛細胞とクララ細胞の分化過程におけるトランスクリプトームの変化を解明する。 4)SSEA-1+(SPNC)細胞を初代培養系で誘導し、同細胞の小細胞肺ガン増殖抑制作用を検証する。 目的1はおおむね実験を終え、現在統計的なデータ解析と論文投稿を行っている。目的2は当初の計画から使用する遺伝子制御配列を変更したため、数ヶ月ずれ込んでしまったかが、目的の遺伝子改変マウスの作出に支障はない。目的3では予定通りトランスクリプトームを実行中である。目的4についてH23年度の研究計画は無い。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り進行中であり、研究計画を変更する予定はない。 目的1の達成のため、残された統計解析と論文投稿を進める。目的2の達成のため遺伝子改変マウスを作出し、レポーター活性を胚組織内で検出する。目的3の達成のため、繊毛細胞の分化過程のTC解析をさらに進める。重要と思われる遺伝子に関して、まずは初代培養細胞でレンチウィルスsiRNAを使った遺伝子ノックダウンによりその重要性を検証する。特に重要と判断された遺伝子数個に関してはノックアウトマウスの作成に取りかかる。目的4の達成のため、SPNC細胞を初代培養系での誘導を行う。
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