2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病の脳における脂質代謝異常のメカニズム解明とその是正
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23689047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 亮 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (20396732)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 脳 / コレステロール代謝 |
Research Abstract |
ヒト成人では全身のコレステロールの約25%が脳に局在し、その95%以上は脳自身によって合成される。我々は糖尿病の脳で核型SREBP-2が減少しコレステロール合成が抑制されていることを以前に報告した(Suzuki et al. Cell Metabolism, 2010)。糖尿病マウスの脳では種々のステロール含量が減少しているにも関わらずSREBP-2経路が抑制されていることから本研究ではステロールセンサーの異常を疑った。STZ糖尿病マウスの脳組織を用いて、SREBP-2前駆体と複合体を形成するステロールセンサー分子SCAPを定量したところ、STZ糖尿病マウスの大脳皮質および視床下部においてSCAPタンパク質が減少していることを発見した。Nestin-Cre TgマウスとSCAP floxマウスを交配し作製した脳特異的SCAPホモ欠損マウスは、自発呼吸開始を認めず全て出生直後に死亡した。ホモ欠損マウスの脳では顕著なグリオーシスを認めた。脳特異的SCAPへテロ欠損マウスは出生後も生存し、STZ糖尿病マウスと同様に、大脳皮質および視床下部においてSREBP-2経路の遺伝子発現が約20%減少しており、脳におけるコレステロール合成も29%低下していた。海馬スライス電気生理で刺激後LTPがSTZ糖尿病と同様著明に減弱していた。新奇物体認識試験の結果、対照マウスは新奇物体を好んで探索するのに対し、脳特異的SCAPへテロ欠損マウスは学習済み物体と新奇物体を探索する時間に差を認めなかった。糖尿病に伴う認知機能低下の新規メカニズムとして脳におけるSCAPタンパク質の減少を提唱する上記の結果を、論文として報告した(Suzuki et al. PLoS Biology, 2013)。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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