2011 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線治療における4次元体内線量測定法の確立と高精度4次元陽子線治療への応用
Project/Area Number |
23689058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
河野 良介 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 研究員 (20392227)
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Keywords | 陽子線治療 / 4次元体内線量測定 / MOSFET検出器 / 4次元CT / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
現在、陽子線がん治療では、線量投与精度が不十分であることが問題となっている。本研究では、陽子線治療が抱える様々な不確かさを評価することにより、不確かさの軽減や不確かさをより定量的に考慮した治療法を確立することを目的とした真の高精度陽子線治療の実現を目指す。特に、呼吸性移動は、陽子線治療精度に大きく寄与するため、4次元陽子線治療の定量的線量評価は不可欠である。そこで、それらの定量的線量評価においては、正確な線量評価並びに膨大な線量計算を必要とすることから、線量計算の高精度化並びに高速化に着手した。線量計算法としては、従来のペンシルビーム線量計算法ではなく、体内不均質でも高精度に線量計算可能な簡易モンテカルロ法を実装した。さらに、従来のCPUではなく、容易に並列処理可能なGPUを用いたモンテカルロ法の開発に成功し、本成果はPhys. Med. Biol.に発表されている。計算精度はCPUとGPUでほとんど差異は無く、計算時間は計算体積に依存するが、例えば、前立腺の場合、臨床利用可能な50秒以内で計算でき、高精度かつ高速に線量計算することが可能となった。 また、呼吸性移動に対する定量的線量評価に向けた320列CTの運用を目指し、性能評価並びにCT値―水等価厚変換テーブルの作成を実施した。性能評価では、CT値の均一性を評価し、コーンビームCT特有の特性で、CT値が体軸方向に依存性を有することが明らかになった。また、アキシャル面では、半径方向にCT値が変位し、ビームハードニングの影響があることがわかり、ビームハードニング補正の効果についても評価を加えた。一方、陽子線の線量計算時に必要なCT値―水等価厚変換テーブルの作成も試みた。CT値―水等価厚変換テーブル作成時には、コーンビームCTに対しても正確にテーブルが作成できるよう体軸方向に長いファントムを開発し、その有用性を評価した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4次元陽子線治療計画用陽子線治療計画装置における線量計算の高速化については、計算時間1分以内を達成し、臨床利用に向け、おおむね予定通りに開発が達成できた。また、320列CTの性能評価に対しては、性能評価用呼吸性移動ファントムの不具合により、改修を含めた不具合対応に時間を要し、若干遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、様々なモダリティを融合し、高精度陽子線治療の達成を目的とした研究であるので、一要素技術でも研究に遅れが生じると全体に影響を与えかねない。それゆえ、研究者や各メーカーと密に連携し、本研究の遂行に当たる。また、問題が発覚したときには、早々に研究計画を再検討し、方法や研究スケジュールなど柔軟に見直すことで、成果を上げるために、その問題に対する最善策を講じる。
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Research Products
(8 results)