2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ脱細胞化技術と幹細胞の融合により三次元胆管・血管構造を有す新規移植肝臓の開発
Project/Area Number |
23689059
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
八木 洋 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20327547)
|
Keywords | 肝移植 / 再生医療 / 大動物 / 細胞外マトリックス / 組織工学 |
Research Abstract |
本研究は生体組織の脱細胞化技術を用いて作製した半透明なブタ由来の全肝三次元スキャフォールドに肝細胞、間葉系幹細胞、胆管細胞、血管内皮細胞を生着させることで、肝臓機能に必須な細胆管から小葉間胆管構造を経た連続的な胆汁排泄経路と、微細血液循環系から吻合可能な門脈/肝動脈/肝(中心)静脈系への連続的血管構造を有するこれまでにない機能的な肝臓グラフトを開発し、これを肝再生・増殖に重要な役割を担う門脈血流へ吻合/移植することによって、臓器として十分に機能する新しい移植肝臓を提供することを目的としている。本助成金を得ることで平成23年度の研究活動によって、ブタ肝臓を用いた脱細胞化システムを確立が可能となり、この内部構造を脈管構築・マトリックス構造・詳細に評価できた。その後、本構造内で肝細胞、血管内皮細胞を生着させ、その機能解析を7日間に渡る循環培養によって行った。この結果、大動物の肝臓を用いて移植に十分耐えうる血管構造を持ち、増殖因子などの生物学的活性を有する一定の肝機能を示す移植グラフトが、作成可能であることが示唆された。この結果はただちにCell Transplantation誌に報告し、2012年5月に受理された。またこの作成した脱/再細胞化肝臓グラフトが生体に外科的吻合によって実際に移植可能かどうかの実験を行い、技術的に問題なく移植可能であることが示された。この結果が得られたことで、今後機能的グラフトを作成して、長期的に大動物生体内に生着させた後、詳細に検討できる道筋が確立された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度終了時に論文を作成できた点、通常時間を要すると考えられる大動物の実験系が確立できた点で、現在のところ計画通りに大変満足のいく結果が得られていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降の計画 肝組織構築に特に重要な胆管再生にまず集中的に取り組みたい。理工学部谷下一夫教授のグループが行っている胆管上皮細胞の分離培養法を応用しブタ肝臓から胆管上皮細胞を取得し、これを胆管から循環培養方式にて生着させ胆管再構築を評価する。その後複数の細胞を用いた共培養系で、細胞機能がいかに相互に修飾し合うかを比較評価し、最終的にすべての細胞が生着した肝臓グラフトを作製し、これを生体に移植後、長期的視野で解析を行いたいと考えている。
|
Research Products
(5 results)