2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ脱細胞化技術と幹細胞の融合により三次元胆管・血管構造を有す新規移植肝臓の開発
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23689059
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
八木 洋 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20327547)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肝移植 / 再生医療 / 大動物 / 細胞外マトリックス / 組織工学 |
Research Abstract |
本研究は生体組織の脱細胞化技術を用いて作製した半透明なブタ由来の全肝三次元スキャフォールドに肝細胞、間葉系幹細胞、胆管細胞、血管内皮細胞を生着させることで、肝臓機能に必須な細胆管から小葉間胆管構造を経た連続的な胆汁排泄経路と、微細血液循環系から吻合可能な門脈/肝動脈/肝(中心)静脈系への連続的血管構造を有するこれまでにない機能的な肝臓グラフトを開発し、これを肝再生・増殖に重要な役割を担う門脈血流へ吻合/移植することによって、臓器として十分に機能する新しい移植肝臓を提供することを目的としている。本研究によってブタ肝細胞、血管内皮細胞を用いた再細胞化が可能であること、および技術的に移植可能であることが明らかとなり、この結果は科研費若手Aによる補助の明記と共に、2013年Cell Transplantation誌に発表された。また米国移植学会、米国肝臓病学会等の海外学会を始め、国内では招待講演を始め多数の学会等で発表の機会を得た。本研究成果を元に、実際にブタへの移植実験を開始し、10以上の移植実験を経て、技術的に外科的吻合による移植が可能であることが示された。本再生肝臓グラフトの臨床応用が技術的に可能であることを示し、今後の幹細胞技術の応用へのプラットフォームとして十分に適用可能であることを世界に先駆けて発表することができた。現在は移植後の内部凝固と出血の問題を解決すべく、抗凝固療法を併用しながら移植手技の質を高め、臨床応用への基盤技術としての確立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度終了時に論文が発表された、数々の海外学会での発表の機会を得、また招待講演を行うまでに発展した。大動物の移植手技がほぼ確立できた点で、現在のところ計画通りに大変満足のいく結果が得られていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降の計画 移植に際して現在その長期生着の障壁となっている、内部凝固の問題を現在抗凝固粒子と抗凝固療法の併用、および血管内皮細胞の充填でいかに解決できるか、詳細なプロトコールの確立を目標に実験を進め、iPS細胞技術のアプリケーションとしての地位を確かなものにできる技術基盤に発展させたい。
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Research Products
(6 results)